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日経記事;『石炭火力、欧州で増加 割安の米国産流入、シェール革命で余剰に』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

2月18日付の日経新聞に、『石炭火力、欧州で増加 割安の米国産流入、シェール革命で余剰に 英、14年ぶり高比率/独電力大手も』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『 天然ガスの価格が高止まりする欧州で、安価な石炭の消費が増えている。発電燃料に占める石炭の比率が英国で14年ぶりの高さとなり、ドイツでも電力大手RWEが7割まで高めた。

「シェール革命」で余剰になった米国産の石炭が流入しているためだ。石炭火力は二酸化炭素(CO2)の排出量が多いため、EU(欧州連合)が掲げる削減目標に影響しかねない。

英国では2012年7~9月の発電に占める石炭火力の比率が、前年同期に比べ12.5ポイント高い35.4%となった。14年ぶりの高水準だ。これまで最も利用が多かった天然ガス(28.2%)を上回った。

ドイツでは、RWEの12年1~9月の発電は72%が石炭火力となり、前年同期に比べ6ポイント高まった。

RWEは12年夏、「褐炭」と呼ぶ低品質の石炭を燃料とする発電所を西部ケルン近郊で稼働させるなど、石炭火力の建設案件が多い。

欧州諸国は再生可能エネルギーの普及を急いでいるが、全体の発電量はまだ小さい。英国では洋上風力の発電量が年率5割で伸びているものの、発電全体に占める比率は1割強。依然として化石燃料に頼らざるを得ない。

化石燃料のなかでも石炭の比率が高まる最大の原因は、天然ガスの価格が高止まりしていることにある。

欧州諸国がロシアやノルウェーからパイプラインや液化天然ガス(LNG)の形で輸入する天然ガスは、価格が原油に連動する契約。ガス火力発電は「ほとんど利益がでない」(独電力大手イーオンのヨハネス・ティッセン最高経営責任者=CEO)のが実情だ。

一方で、欧州の石炭価格は指標となる北西部の価格で、1トン80ドルと安い。ドイツ銀行のエコノミストは「160ドル以上になるまでガスに比べ割安だ」と分析する。

石炭の供給源は米国。頁岩(けつがん)から採掘するシェールガスやシェールオイルの生産が急増し、発電に使う一般炭が余剰になった。

欧州の米国からの一般炭の輸入量は12年7~9月に925万米トンと、2年前の4倍超となった。英国やドイツ、イタリア、オランダが輸入を増やしている。

国際エネルギー機関(IEA)は、欧州の石炭消費量は13年にピークになると予想。その後は、再生可能エネルギーの普及や、老朽化した石炭火力発電所の閉鎖で、減少に向かうとしている。』


本日の記事は、英国やドイツが化石燃料による発電量を増やすため、調達コストの低い石炭火力発電装置の増設を行っていることについて書いています。


国内でも、「東京電力」は2月15日、石炭火力を中心とする新たな火力発電による電力の入札を開始しました。

15日に開かれた入札に関する説明会には、鉄鋼メーカーや商社など約50社が参加したとのこと。この火力発電による電力の入札は、計画が中止された福島第一原発7号機、8号機の代替として260万キロワットを募集しているもので、コスト面で安価な石炭火力が中心となる見通し。
です。

環境省は、この東電の石炭火力発電の新設計画に対して、CO2排出量の増加につながるリスクがあるとの観点から難色を示しています。

石炭は、石油や天然ガスと比べると、確認埋蔵量が多く今の量を使い続けても、百年以上使い続けられるとされます。

また、記事にありますように、米国ではシェールガスやシェールオイルの使用量が増え始めていることから、石炭消費量が低下するため石炭販売価格が下がっています。

英国やドイツは、原子力発電依存を低下させる、あるいは止める方向で動いています。代替エネルギーは、化石燃料か自然再生エネルギーになります。

自然再生エネルギーは、CO2排出がありませんので、地球温暖化対策の観点からは、今後拡大して、多くの発電を自然再生エネルギーからまかなう方向に持っていく必要があります。

自然再生エネルギーの現在の課題は、発電効率が低いことと、発電コストが高いことです。これらの二つの課題は、技術革新により徐々に解決できるとみていますが、まだ時間を要します。

英国やドイツが、石炭火力に頼るのは、安定して調達できることと、低い購入価格です。英国やドイツの置かれている状況は、日本も同じです。

上記東電の石炭火力発電の新設計画は、日本の置かれている状況をみますと合理的なものです。

日本には、IHI、日立製作所、三菱重工などの重電メーカーがあり、これらのメーカーは大型超々臨界圧石炭火力発電装置を開発・実用化しています。

すでに三菱重工は、インドや台湾などで大型超々臨界圧石炭火力発電装置を受注して納入しています。IHIや日立も新興国を中心に大型超々臨界圧石炭火力発電装置の受注や納入を行なっています。

エネルギーや環境対応事業は、今後国内企業が世界市場で事業拡大すべき重要な分野の一つです。

超々臨界圧石炭火力発電装置は、石油や天然ガス並みのCO2排出量におさえられる技術とされます。この高度発電技術は、上記国内重電メーカーのお家芸になっています。

経産省や資源エネルギー庁は、重電メーカーによる大型超々臨界圧石炭火力発電装置の輸出を支援しています。

国内重電メーカーがさらに、大型超々臨界圧石炭火力発電装置の受注や輸出を活発化させるために、日本国内で当該石炭火力発電装置を使った発電実績を殖やしていくことで、当該装置が石油や天然ガス発電装置と同等なCO2排出量であることを実証し、運用ノウハウ蓄積できるようにすることが重要です。

この観点から、東電の石炭火力発電の新設計画は大変意義深いものです。東電の公開入札で、国内重電メーカーの大型超々臨界圧石炭火力発電装置の性能が確認され、石油や天然ガスによる発電並みのCO2排出量であることが確認されれれば、国内での石炭火力発電を再開する道が開けます。

日本の経済力を維持・発展させるためには、低コストで安定した電力が必要であることは明確です。

国内重電メーカーの更なる技術の開発・実用化で、国内で石炭火力発電が新設されて、電力供給問題を解決しつつ、環境対応した大型超々臨界圧石炭火力発電装置の進化・運用ノウハウ蓄積を期待します。

国内重電メーカーは、国内及び海外の両市場で石炭火力発電の新設に協力しつつ、大きな新規事業機会を手に入れることが可能になります。

電力供給問題は、全世界の国ぐにが共通して直面する課題であり、国内重電メーカーの大型超々臨界圧石炭火力発電装置は、この課題を解決できる有望な手段です。

東電の石炭火力発電の新設計画の動きに引き続き注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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