民法改正(財産法関係)その4 - 民事事件 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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民法改正(財産法関係)その4

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債権総論

 

○債務不履行

1 債務不履行について、①債権者の履行請求権、②債務者の履行追完権、③債務不履行の新しい類型として履行拒絶を新設。

  重大な債務不履行について、無催告解除を新設。

2 債務不履行の場合、債務者側の履行追完権を認める。現行民法では、明文がないが、認められてきた。                                                                                             

3 債務不履行(現行民法では、履行不能、履行遅延、不完全履行)の4番目の類型として、履行拒絶が検討されている。                                                              

4 解除と危険負担の制度の一本化が検討されている。                                                              

 

○ 合意原則と債務不履行責任

 債務不履行に基づく解除、損害賠償と免責事由

1 債務不履行について、民法改正提案では、過失責任主義を放棄した。契約で引き受けた債務を履行しなかったことが、債務不履行となる。

  潮見教授のご説明では、実務的には、従来の判断枠組みと変更がないと説明される。

2 免責事由

  民法改正提案では、「債権者において引き受けなかった事由」が免責事由と提案された。                                         

従来の判例は、損害賠償責任の根拠として、付随義務に基づくものを、認めてきた。しかし、例えば、契約書で、明示的に、付随義務を負わないと記載した場合には、(消費者関係は別として)、公序良俗や信義則等では救済されないのではないか。

                                                           

・ 民法改正提案では、債務不履行の予見可能性のルールを変更する。

特別損害の予見可能性について、現行民法では債務不履行時、民法改正提案では契約時となっており、実務へ影響を与える。ただし、民法改正提案でも、後に生じた事情であっても、債務者が契約時に予見できた事情は加える。

・ 引き受けられていた債務の具体例

レストランでの食中毒の事例(大腸菌の場合)については、安全配慮義務の問題としてとらえることができる。未知の病原菌の場合は除外されるであろう。

 

○ 債務不履行において、債権者側の過失は、過失という言葉は使わないが、契約当事者双方の事情を考慮する形で、従来の過失相殺のルールは維持する。

         

○債務不履行についての過失責任主義                                                              

3-1-63                                                              

 民法415条第2段で、履行不能は帰責事由のない場合には責任を負わない(危険負担の問題になる)と規定されていることから、明治時代に債務不履行に帰責事由が必要との解釈が確立された。

 なお、3-1-62と3-1-63に書き分けているのは、帰責事由がないことを免責事由として債務者に立証責任があることを意識したものであろう。                                                             

                                                              

○解除について

   民法改正提案は、解除について帰責事由を不要とした。

   現行民法では、債務不履行による解除と損害賠償がセットになっているが、民法改正提案では、解除はできても、損害賠償請求できない場合もある。

3-1-1-77 解除権の要件                                                             

  民法541条の催告解除権を定めている。これに絞りをかけて、判例は、単なる付随的義務の不履行だけでは解除権を認めず、契約の要素たる債務の不履行がある場合には、解除権を認めている。

 民法改正提案では、解除の要件として、帰責事由を不要とし、重大な債務の不履行を要件とした。重大な債務の不履行とは、「相手方が契約に対する正当な期待を失った場合」(履行不能を含む)。

                                                            

                                                          

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