全てお任せはフルサービスなのでとても快適な家造りの様に思えます。果たして本当にそうでしょうか?
お金を払うのは建築主です。お客様は神様ですから、痒いところに手の届くサービスを心掛けます。
ドラッカーも顧客の要望を聞き取ることからマネジメントは始まると説いています。
でもそれが全てお任せの家造りを指すのでしょうか?
考えどころなのですが、家を建てる作業は大金をつぎ込む作業です。殆どの方は大きな借金をすることになります。金額だけで考えれば、豪華客船で世界を何周も回れる金額です。それだけのお金を出すのに、全てお任せで、世界旅行ほどの感動を得ることが出来るでしょうか?
どうせ、お金を使うなら1から10まで家造りに関わって、感動体験を重ねた方が良いのではないでしょうか?全てお任せは、確かに楽ではありますが得る感動は少ないです。建てる側はファッションモデルに合う既製服は作れても、個人にフィットするオートクチュールは造れないのです。
この結果は、建築主様個人だけに関わらず家族全体に伝わります。
リフォーム依頼で建築主様へ聞き取り調査を行う際、必ず「何故リフォームなのですか?」と云う質問を入れます。TPOで新築の方が安く済む場合もある為です。その時リフォームにこだわる依頼者の回答の多くは「親父が建てた家だから」と言うものです。決して「親父が買った家だから」はありません。
建築主様が、ワクワク感を持って家造りに関与される姿を家族全員が見ているのです。それは言葉の端々や態度・行動になって、家への愛情へと進化し、家を守り伝えなければならない、(それが幸せな)使命感に変わるのです。
長く住める家は、構造や耐久性と云った物理的耐用年数では決まりません。住む人の家に対する愛情の深さが家の寿命を決めるのです。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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住宅性能表示制度や長期優良住宅やエコポイントにも対応する、環境とお財布に優しい住まいの提案
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経済的な熱損失計算(性能基準)で、次世代省エネ基準を取得できる提案をします。
構造等級3を基本にご相談いたします。木造三階建て等で行う応力度計算も自社で行いますので、意匠と構造の齟齬がありません。
また、IAU型免震住宅設計資格取得者として、免震住宅等の相談も行っています。
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