日経記事;『スマホ普及で増収 蛇の目ミシンの意外な売り物』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;『スマホ普及で増収 蛇の目ミシンの意外な売り物』に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. 各種の新規事業・事業拡大
経営コンサルタントの活動 新規事業開拓・立上支援

皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

2月11日付の日経新聞に、『スマホ普及で増収 蛇の目ミシンの意外な売り物』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『スマートフォン(スマホ)の世界的な普及の波に乗り、意外な企業が3期連続増収を見込む。蛇の目ミシン工業だ。ミシン技術を転用した産業機器の投入で、新たな顧客を増やしている。

卓上ロボットの新シリーズが狙うのは、人手では難しい直径1~2ミリのねじ締め。顧客から送られた材料を使って動作状況をビデオに撮影し、受注につなげることも

アップルの「iPhone 5」、サムスン電子やソニーのAndroid(アンドロイド)端末など、新たな機種が次々と登場するスマホ。その普及に伴って新しい顧客を増やしている企業がある。

経営陣の判断で1990年代から、ミシンの技術を応用した産業機器の製造を始めた蛇の目ミシン工業だ。スマホ製造に使う卓上ロボットの販売が伸びている。

卓上ロボットは、ミシンの組み立てを合理化しようと、ねじを締める用途に開発された。3次元の指定された位置にドライバーが高速移動し、ねじを締める。締める力を強めるトルクアップのほか、ねじがなくなれば自動停止する機能もある。

ミシンの組み立ては、製品仕様が変わってもすぐ対応できる「セル生産システム」と同様に、多品種少量生産に適する。それが海外でスマホの組み立てを担う電子機器の受託製造サービス(EMS)企業の目にとまった。

ミシンの生産技術をスマホ製造に応用して、意外な売り物に成長。2013年3月期は、卓上ロボットを中心とした産業機器事業の売上高(前期は45億円)が拡大すると見込んでいる。全体の売上高の予想額390億円(前期は370億円)を押し上げる大きな要因という。

卓上ロボットを売り始めた当初に使われたのは、ドライバーではなくノズルを取り付けて精密機器に接着剤を細かく塗布する用途だった。製品の展示会で評価されて、OEM(相手先ブランド販売)で塗布ロボットとして販売が伸びた。

電子部品を固定して配線するプリント基板に接着剤を塗る工程や、熱に弱い樹脂製のコネクター、ICのハンダ付け向けに需要が拡大した。

蛇の目ミシンは、顧客の要望をもとにロボットを制御するソフトウエアを開発。顧客の求める動作速度を実現するため、高速なCPU(中央演算装置)を導入して改良を重ねた。

2000年に発売した製品シリーズで、塗布向けやハンダ付け、ねじ締めの3つが用途の柱に成長。用途はニッチでも、蛇の目ミシンにとっては大きな市場だ。

家庭用ミシンが主流の社内で、実に9年近く経って産業機器の事業が認知されるようになったという。

とはいえ、市場の開拓は順風満帆ではなかった。蛇の目ミシンをまねた低価格の台湾や韓国、中国製のロボットも登場。問い合わせを受けてシリアルナンバーを調べると、そっくりに作られたコピーマシンだと判明したこともある。

蛇の目ミシンのロボットは、作業工程を入力する「ティーチング」と呼ばれるセットアップを対話形式で短時間に入力できる。それが多品種少量生産のスマホの製造現場で評価を得るようになった。2003年には一度離れた顧客が数年後に買い直す例も出てきた。

国内で製造される携帯端末は、1つの機種で50万台ほど。わずか1~2週間で次の製造に移る場合もあるからだ。

蛇の目ミシンは、顧客の利用状況をつかみ、要望を次々と取り入れる態勢を作ってきた。2009年に産業機器の営業部門に業務企画部という部署を設け、顧客の要望に応えるスピードを早めてきた。スマホ製造への用途も、EMSの顧客に求められて開拓してきた。

。。。。』


上記蛇の目ミシンの新事業展開のやり方は、中小製造業者にとって参考になります。ポイントは、以下の通りです。

1.蛇の目ミシンは、長い間培ってきた家庭用ミシンの製造ノウハウを蓄えており、当該ノウハウを駆使して差別化・差異化を実現している。

具体的には、自社工場で、ミシン製造の自動化を進める過程で得られたノウハウを駆使して、他の事業分野で使用可能な小型ロボットを開発・実用化した。

2.参入した市場;産業分野は、ニッチであり、自動化ロボット事業で先行する大手メーカーとの直接競合を避けれた。

3.参入当初は、ノズルを取り付けて精密機器に接着剤を細かく塗布する用途がメイン。OEMメーカーに認知されて、当該事業者向けに販売を開始した。

その後、OEMメーカーを含む顧客の要求仕様を聞いて、ロボットを制御するソフトウエアを開発。顧客の求める動作速度を実現するため、高速なCPU(中央演算装置)を導入して改良を重ねた。

この顧客の要求仕様をまめに聞いて、自社商品の改良を行なっていく姿勢が重要であり、これを着実に実行した。

BtoB型ビジネスでは、中小製造業者が勝ち残っていくには、蛇の目ミシンのように顧客の要求仕様を聞きながら、技術革新を進めてそれ以上の能力・性能を打ち出していくことが、1項の差別化・差異化の実現につながる。

4.どんなニッチ市場でも、競合他社は存在する。蛇の目ミシンの場合は、韓国や中国メーカー。二番手、三番手メーカーの常套手段は、類似機能・性能を持った商品を低価格で売ることである。
韓国、中国メーカーはそれを行なって、蛇の目ミシンのシェアを奪ったが、蛇の目ミシンは安売り競争を避けた。

記事にあるように、蛇の目ミシンは、作業工程を入力する「ティーチング」と呼ばれるセットアップを対話形式で短時間に入力できる機能を盛り込んで、それが多品種少量生産のスマホの製造現場で評価を得た。

安さで仕掛けてくる競合他社に対して、次元の異なる新機能で、製造現場の生産性向上を実現することで顧客の信頼を勝ち取った。

BtoB事業の場合、顧客はメーカーから提供される商品を自社事業に使用するので、使い勝手の良さや短時間での変更・設定などが可能なものの方が、全体の生産性や付加価値向上につながることが評価される場合が多い。

蛇の目ミシンは、このやり方を取り、安さ競争とは別の場で戦い、顧客の信頼を得た。強さの源泉は精度の高さやソフト開発力とのこと。

5.BtoB事業を上手く行なうためには、顧客との緊密な会話をできることが必要になる。蛇の目ミシンは、自社内に窓口となる専任部隊(業務企画部)を作って、顧客の要求仕様を聞いて理解し、社内の開発チームに伝える機能を強化した。

しかも、依頼を受けて早ければ翌日、長くても1週間以内に回答するという短時間・短期間での処理体制を確立した。

BtoB事業の顧客は、上記したようにメーカーの商品を業務用途に使っており、顧客の要求仕様に対して迅速に回答することは、高信頼の獲得につながる。など


蛇の目ミシンの産業用卓上ロボットは、ここ2~3年の間に知られるようになりました。

記事によると、蛇の目ミシンはスマホ需要を取り込んで、卓上ロボット需要が急拡大しているようです。蛇の目ミシンは、今まで着実に卓上ロボットの需要開拓を行なっていますので、一時的な需要拡大に惑わされないで、今後も進化し続けるとみます。

中小製造業者の場合、BtoB事業が多くなります。今後の事業展開を計画する時に、蛇の目ミシンの動き方・やり方を参考情報の一つにすることをお勧めします。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営コンサルタントの活動」のコラム