- 山本 憲宏
- 山本公認会計士事務所 所長
- 滋賀県
- 公認会計士
対象:会計・経理
昨日までで各論の本文の抜き出しが終わりました。
会計要領は、各論においては本文の次に解説があります。
本文だけが重要ではなく、解説も含めて一体のものと考えてください。
さて、今日から「中小会計要領」の解説に入っていきます。
今回はまず総論からです。
総論の最初に目的が書かれています。
会計要領は、中小企業の多様な実務に配慮し、その成長に資するため、中小企業が会社法上の計算書類等を作成する際に、参照するための会計処理や注記等を示すものである。
次に、この中小会計要領がどのような考えのもとで作成されているのかが書かれています。
・中小企業の経営者が活用しようと思えるよう、理解しやすく、自社の経営状況の把握に役立つ会計
・中小企業の利害関係者への状況提供に資する会計
・中小企業の実務における会計慣行を十分考慮し、会計と税制の調和を図った上で、会社計算書類に準拠した会計
・計算書類等の作成負担は最小限に留め、中小企業に過重な負担を課さない会計
上記の4つの考えにもとづいて作成されたのが中小会計要領ということになります。
経営者が自社の経営状況を把握するのに役立つ会計であるべきなので、まずは経営者がこの中小会計要領を理解してもらう必要があります。そのため、この中小会計要領は他の会計基準と比べ読みやすく書かれている会計基準であると思います。また、会計の担当者や顧問税理士だけが決算書の内容を把握するのではなく、あくまで経営者自体が自社の決算書を読んで判断できるようにすべきなのです。
次に、中小企業の利害関係者、すなわち、金融機関、取引先、株主等への情報提供に資する会計です。中小企業にとっての最大の利害関係者は金融機関でありますし、経営者が株主でもある同族企業が大半の中小企業にとっては、経営者が計算書類を把握するということは株主が決算書を把握しているともいえます。そのため、利害関係者として求める順番としては、金融機関、取引先、株主という形になってくるものと思われます。
第3に、中小企業の会計の実務が法人税法の求める処理に準じた会計処理で行われている実態を背景に、実態に即した会計のルールとなっているものといえます。
第4に、中小企業の会計担当者の人員数などを考慮し、過度に計算書類の作成負担とならないように考慮された会計のルールとして作成されています。
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