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日経記事;『昭電、ブタジエン生産 合成ゴム原料で新製法 シェール革命、化学産業に転機』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

2月5日付の日経新聞に、『昭電、ブタジエン生産 合成ゴム原料で新製法 シェール革命、化学産業に転機』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『昭和電工はタイヤなどに使う合成ゴムの原料「ブタジエン」の生産に参入する。溶剤向け化学品を転用する新製法を確立、大分コンビナート(大分市)で2016年から生産を始める計画だ。

ブタジエンの成分は新型天然ガス「シェールガス」にほとんど含まれず、将来の不足が懸念されている。

自動車生産の拡大などで世界需要は増えており、新技術で市場開拓をめざす。シェールガス革命が、石化事業の原料や製法に大きな変化をもたらしはじめた。

ブタジエンは従来、石油由来のナフサ(粗製ガソリン)を分解しエチレンなどを製造する際の副生物から製造されてきた。だが、石油より価格が安いシェールガスを利用する動きが急速に広がり、ブタジエンの安定確保が課題になっている。

昭電が実用化をめざす新製法では、化学品「アセトアルデヒド」とエタノールを特殊な触媒で反応させてブタジエンをつくる。基礎技術は確立済みで現在、採算性を高める生産プロセスの構築を進めている。

国内シェア1割に相当する年産能力10万トン程度の設備を大分コンビナート内に建設する計画だ。投資額は100億円以下の見込み。昭電は同コンビナートでブタジエン原料を作り、日本ゼオンやJSRなどの合成ゴムメーカーに供給してきたがブタジエンそのものは生産していない。

昭和電工は16年から大分コンビナートで合成ゴム原料の生産に乗り出す。

アセトアルデヒドはシンナーやラッカーなど塗料用溶剤の原料だが、ここ数年、割安な中国製の溶剤が大量に日本に流入している影響で供給過多になっている。

昭電はアセトアルデヒドの国内大手で大分コンビナートに年産能力16万トンの設備を持つが、稼働率は約5割と低迷している。ブタジエン事業への参入で不採算事業を高収益事業に変えられる可能性がある。

ブタジエンのアジアのスポット価格は1トン1820~1900ドルで、2カ月で3割上昇。調査会社の富士経済(東京・中央)はブタジエンを使ったタイヤ用合成ゴム(スチレンブタジエンゴム)の15年の世界需要を約670万トンと10年比で4割増えると予測する。』

ブタジエンについては、昨年来、米国でシェールガス増産が活発化するのに比例して供給不足問題が顕在化すると言われてきました。

そして、ブタジエン不足が現実に顕在化しつつあり、供給体制への不安視から販売価格が上昇しています。

この状況下、世界の化学会社は、ブタジエンの安定供給に向けて新規技術の開発・実用化を急いでいます。

ブタジエンは、石油の精製プロセスの中でナフサ(粗製ガソリン)の分解から生まれるものであり、エチレン、ベンゼンなどと共に作られます。

従って、石油の使用量が少なくなれば、ブタジエンやエチレンは作られなくなることになります。

国内化学会社が上記素材を石油以外の方法で、抽出できる方法を実用化できれば、大きな新規事業機会を持つことになります。

本日の記事は、その中で、昭和電工が化学品「アセトアルデヒド」とエタノールを特殊な触媒で反応させてブタジエンをつくると述べています。基礎技術は確立済みで現在、採算性を高める生産プロセスの構築を進めているとのこと。

ブタジエンがないと、タイヤや自動車部品、ナイロン繊維の需給が逼迫する可能性が出てきます。
昭和電工の新技術が実用化され、合理的な値段で販売されれば、一定規模の収益確保・拡大につながります。

昭和電工の新プラントの事業化は、2016年から大分で行なうとされています。

本日の記事にはありませんが、ブタジエンに関しては、三菱ケミカルホールディングスと旭化成はその原料として、石化コンビナートで副産物として発生する「ブテン」を利用する方法を検討中です。それぞれ水島コンビナート(岡山県倉敷市)で試験プラントの運用を始めたとのこと。

昭和電工、三菱ケミカルホールディングス、旭化成などの国内大手化学会社が、代替技術を早期に開発・実用化して、ブタジエンの供給体制構築することを大いに期待します。

国内メーカーは、2年前に中国が日本との領土問題に関して、日本向けレアアース供給を絞ったため、対抗策としてレアアースを使わない、あるいは少量しか使わない代替技術を早期に開発・実用化した実績を持っています。

国内メーカーは、「必要は発明の母」を実体験したことになります。

ブタジエンも代替技術で供給体制を確立する動きになります。

一方、同日付の日経新聞に、ヘリウム不足が顕在化しつつあると報じられています。

これは、世界でヘリウムの使用量が増えて、供給体制が追い付いていないことによります。中国など新興国で需要が大きく膨らみ、過去にないほど需給が逼迫しています。

これに追い打ちをかけているのが、昨年起きた最大産出国の米国の天然ガス設備の不具合によって米国からの輸入が急減したことです。

日本は、国内消費の95%を米国からの輸入に頼っていました。さらに、上記しましたように、米国が積極的に産出していますシェールガスからは、ヘリウムが取れません。

この結果、大学や企業は、研究用途に使用するヘリウムの使用量を大幅に制限される事態になりました。

ヘリウムは医療用や産業用に優先的に供給され、研究など他の用途向けは著しく不足するようになりました。

各大学や研究機関は、知恵を絞って、レアアースの時と同じように、ヘリウムを使わずに済む装置の開発やヘリウムを完全回収する装置を開発する動きをかけています。

ヘリウムは実験に使う超電導材料などを冷やした後、暖まってガスになります。従来は放出するか、室温になってから回収していたとのこと。

東大発ベンチャーの新領域技術研究所(千葉県柏市)が開発した新型装置は、独自の流路(配管)や断熱方式などを使い、液体ヘリウムが蒸発した後、セ氏零下263度程度で回収できるようにしたとされます。

また、産業技術総合研究所は、つくばセンター中央地区(茨城県つくば市)にある古いヘリウム回収設備を全面的に更新し、大気中に一部、排出しているガスを取り込む配管を実験装置に取り付けることなどで、回収率を現在の80%から90%に高めるようにします。

ここでも、「必要は発明の母」を実体験・具現化しています。

化学や素材、部品など地味ではありますが、社会の基礎的な社会・経済活動を支える国内企業、大学、研究機関の実力は、世界ナンバーワンとされています。

今後も、国内勢の力を維持・強化していけば、世界の需要を満たし・解決しながら、新規事業機会創出を継続できます。

本日の記事は、中小企業を含む国内メーカーが目指し、強化する方向性の参考事例になります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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