実録!企業再生の現場レポート vol.3 ~つなぎ融資のご相談 - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

榎並 慶浩
リーンアカウンティングジャパン 代表
東京都
税理士
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実録!企業再生の現場レポート vol.3 ~つなぎ融資のご相談

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実録!企業再生の現場レポート

「つなぎ融資の相談」

1月某日 A銀行にて―


社長 「本日はご相談があってまいりました。」

銀行 「どうしました?」

社長 「単刀直入に申し上げますと、いくつかの案件が流れたりして、ちょっと資金が

    寂しい感じになりまして・・・」

銀行 「先日の話では、引き合いも多くて順調だと伺っておりましたが、何か状況の

    変化でもありましたか?」

社長 「契約の直前でキャンセルになったり、相手の資金繰りがうまくいかなくて決済

    できなかったりというようなことがちょっと続いちゃいましたね。」

銀行 「個別要因といったところですか」

社長 「まあ、そんなところかと思います。再来月には大きい案件もありますしね!」

銀行 「では、ご相談というと具体的には?」

社長 「まあ、その、何というか、資金はあるっちゃあるんですが、再来月まで薄くなっちゃう

    ので、万が一に備えて資金を持っておきたいかなぁ、と」

銀行 「・・・」

社長 「なので、再来月までの短期間だけ、つなぎ融資とかお願いしようかと思ったわけです」


経理 (小声で)「社長!何でここにきていいかっこしてるんですか!」

社長 (小声で)「お前は黙ってろ!再来月までつなげれば何とかなるんだから、何も正直に言う必要はないだろう!」


銀行 「・・・・・・。以前からお話してますが、最近、運転資金のような資金使途では稟議が

    通らないんですよ。資金に余裕を持っておくための融資っていうのはちょっと難しいですね」

社長 「再来月までの超短期ですよ?再来月にはちゃんと返しますよ」

銀行 「そうはおっしゃいましても、御社のような不動産販売業の運転資金って、本来は仕入

    資金ということになりますよね?そうではなくて、通常の経費ということであれば、

    それは利益のから拠出していただきたいというのが基本になります」

社長 「経費って言っても、大きな出費もあるじゃないですか。通常の経費というより、将来の

    収益のための特別な支出というか・・・」

銀行 「そういうことでしたら、個別に検討させていただきますが、そのような予定が

    おありなんですか?」

社長 「いや、万が一に備えてですよ」

銀行 「であれば、万が一が発生する時点で改めてご相談いただければと思います」

社長 「いやいやいや、そう結論を急がずに(汗)。

    借入の返済とかあって、通常経費払うのもきついんですわ」

経理 「!」

社長 「しまった・・・」

銀行 「どういうことですか!?念のため確認させていただきますが、その借入返済後の

    資金残高っていくらですか?」

社長 「いや、その・・・」

銀行 「社長、まさか、つなぎ融資って、その返済資金ということはないですよね?」

社長 「いや、その・・・」

経理 「社長・・・」

社長 「う、うん・・・」

銀行 「社長、正直におっしゃってください。そうでないと打てる手も打てなくなります」

社長 「じ、実は、その返済をすると、資金がショートします・・・」

銀行 「返済はいつですか?」

社長 「来月です」

銀行 「何も対策はないのですか?例えば、再来月の案件を前倒しするとか」

社長 「いろいろ考えたのですが・・・。再来月の案件もまだ契約すらしてなくて、

    前倒しどころか、現時点では何とも言えません・・・」

経理 (固いって言ってたのに・・・)

銀行 「う~ん、困りましたね。B銀行への返済はきっちり行っていただかないと、

    当行の既存融資にも影響が出ます。まずは、すぐに資金繰り表をご提出ください」

社長 「わ、分かりました。でも、返済できないんですが・・・」

銀行 「『できない』では困ります。なぜ、もう少し早くおっしゃっていただけなかったんですか!

    まだ時間はありますから、他に売れるものがないか、支払いを延期できるものはないかなど、

    もう一度ご検討ください」

社長 「お話するのが遅くなったことは申し訳ありません。ただ、いろいろと検討したのですが、

    これ以上は難しいと思います」

銀行 「では、どうされたいのですか?」

社長 「御行からのつなぎ融資が出ないのであれば、B銀行に話して返済を延期してもらおうかと・・・」

銀行 「B銀行の返済のための融資はできません。B銀行にお話されるのはいいですが、すぐに結論は

    出ないでしょう。おそらく、メインである当行の出方も気にするでしょうし。」

社長 「では、一旦B銀行に話してみます」

銀行 「その結果は必ずフィードバックしてくださいね。

    あと、いずれにしても資金繰り表は早急にご提出ください。

    また、厳しいことを言うようですが、社長の個人資産などまで範囲に入れたうえで、改めて対策を

    ご検討ください」

社長 「わ、分かりました・・・」


何とかA銀行への説明は終わりました。

社長は最初背伸びしたものの、すぐにボロが出てしまいましたね。

中には厳しい意見もあったようですが、銀行の担当者としては、一義的に「返済してくれ」としか

言いようがありません。


今回のポイントは「コミュニケーション」です。

前回、「普段からメインバンクとしっかりコミュニケーションを取っておかないと、ビジネスライクな

対応になりますよ」というお話をしましたが、この日常からのコミュニケーション不足がありありと

出たケースです。

では、普段からどのようなコミュニケーションを取っておく必要があるのでしょうか?

次回、この「コミュニケーションの取り方」について解説します。


(つづく)

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