【法律事務所のコラム:相続の身近なお悩み】第2回

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公開日時
2011/11/16 14:19

相続のお悩みというのは、意図せずやってくるものです。

身近な相続の悩みに関連する法律知識を紹介したり、トラブル回避の方法についてご紹介するコラムを連載しています。第2回は、「内縁の妻と相続」をテーマにします。

 

以下のような例で考えてみましょう。

 

【例】

Aさん(65歳)、Bさん(59歳)。

2人は20年間事実上夫婦として暮らしていますが、結婚はしていません。

このような関係を内縁関係といいます。

BさんはAさんの「内縁の妻」です。

2人の間に子供はいません。

2人はAさんのマンションに住んでいます。

 

このようなケースで、Aさんが亡くなった場合、

Aさんのマンションを内縁の妻Bさんは相続できるでしょうか。

 

答えはNOです。

 

なぜなら、内縁の妻BさんはAさんの相続人ではないからです。

 

では、Aさんのマンションはどうなるのでしょうか?

 

(1)Aさんに相続人がいる場合

Aさんの両親はすでに亡くなっていますが、Aさんには弟Cさんがいました。

この場合、CさんがAさんの相続人になります。

つまり、AさんのマンションはCさんのものになってしまうのです。

Bさんはマンションを出て行くか、Cさんと賃貸借契約を結んで賃料を払って住むことになります。

 

(2)Aさんに相続人がいない場合

Aさんのマンションに対して権利を主張する者(債権者・受遺者等)がいない場合、Bさんは「特別縁故者」としてマンションを自分にくださいと家庭裁判所に請求することができます。家庭裁判所が「相当」と認めた場合には、Bさんはマンションをもらうことができます。

(1)・(2)いずれの場合でも、BさんはAさんの死後、確実にマンションに住み続けられるという保証はありません。

 

では、どうしたらよかったのでしょうか?

 

ここで、大切なのが「遺言」です。

 

Aさんが「Bさんに全財産を相続させる」という遺言をしてくれていたら、

(1)・(2)いずれの場合でも、マンションはBさんのものになります。

兄弟には遺留分がありませんので、Cさんは手も足もでません。

 

このように、内縁の夫婦の場合、遺言がとても大切になってきます

 

遺言書は自分でも作成することができます。

ただ、遺言は厳格な要式が要求されますので、いざ亡くなったあとに遺言書を見てみたら、無効だったり、内容があいまいだったりすることがよくあります。

特に相続財産に不動産がある場合、きちんとした遺言書を作成しないと、その遺言書を法務局に持って行っても、登記名義の変更ができない場合があります。

将来の相続争いの火種をつくらないために、遺言書作成の際には弁護士に相談されることをおすすめいたします。

 

 

このコラムの執筆専門家

松野 絵里子(弁護士)

東京ジェイ法律事務所 弁護士

高品質で身近なサービス

身近で高品質なリーガルサービスを目指して自分の事務所を運営している弁護士です。個人的には、企業法務の日本における浸透(リーガルリスクはビジネスリスクであることの認識)を中小規模の企業にも促進したいと思っています。

松野 絵里子
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