「公正証書遺言」とは? ~遺言書の基礎知識(2)
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- 公開日時
- 2011/02/18 12:25
「公正証書遺言」とは、証人2名立ち会いの下で、法務大臣に任命された「公証人」に作成してもらう遺言書のことです。
公証人が作成するので、まず「無効」ということがなく、原本が公証役場にて保管されるため、遺言書の紛失・偽造・変造等の心配がなく、家庭裁判所の「検認」という手続きも必要ない、一番「確実な」遺言書と言えるでしょう。
自筆証書遺言がワープロや代筆が無効なのに比べ、公正証書遺言は、公証人が遺言者の意志確認をしながら作成するため、口述のほかにも、筆談・手話等による意志伝達が可能なら、誰でも作成できます。病気や入院等により公証役場まで足を運べない場合には、自宅又は病院等へ公証人に出張してもらうことも可能です。
デメリットは、費用や手間がかかるため、気が向いた時に簡単に作り直すことが難しい点と、証人を2名用意しなくてはならない点、証人になってもらった人には遺言書の内容が知られてしまうといった点でしょうか。
証人の問題については、信用に値する証人が見つからないという場合は、公証人から信頼できる証人を紹介してもらえるようですが、実際には、相談に乗ってもらった税理士さんや司法書士さんなどと一緒に公証役場に行って、証人になってもらうケースも多いようです。
手数料は、目的財産の価額に応じて高くなっていきます。詳しくは図をご参照下さい。(画像をクリックすると、拡大できます。)
また、誰にも内容を知られたくないという点に関しましては、「この封筒の中には、遺言書が入っていますよ」ということだけを公証人に証明してもらう「秘密証書遺言」という物がありますが、これは、証人2名を用意したり手数料が必要であるにも関わらず、「自筆証書遺言」のデメリットをそのまま継承しているので、あまり使われることのない遺言形態です。
むしろ、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」のメリット・デメリットをご自身の状況や性格、価値観に応じて使い分ける方法がベストでしょう。
一般的には、まだ働き盛りで元気なうちは費用もかからず何でも書き直しやすい「自筆証書遺言」で、或る程度お年を召されて、財産量も確定してきたら、手続きに漏れのない「公正証書遺言」で…といった方法を取られるケースが多いようです。
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