秘密証書遺言について。

-

公開日時
2014/01/05 13:02

 遺言は特別の方式(危急時遺言・隔絶地遺言)による場合の他、自筆証書・公正証書・秘密証書の三方式のいづれかによらなければならない(民・967条)とされています。一般的に遺言といえば公正証書遺言か自筆証書遺言であり、実務でも秘密証書遺言にお目にかかることは皆無といっていいでしょう。

今回は、それほど知られていない秘密証書遺言について簡単に解説してみます。さて、その秘密証書遺言ですが、遺言を残したことは明確にしたいが内容については明らかにしたくない場合にメリットがあるとされています。最大の利点は遺言者の自筆の必要がなく(本人の署名押印は必要)、代筆やPC(ワープロ)での作成が認められているということ、欠点は遺言書の開封には家庭裁判所の検認手続きが必要であるということです。

以下に秘密証書遺言作成のポイントを記します。

1 遺言者が作成(代筆等可)した証書(遺言書)に署名して押印すること(加除訂正については自筆証書遺言の規定が準用されています)

2 遺言者がその証書(遺言書)を封じて、証書に使用した印鑑で封印すること

3 遺言者が公証役場で公証人及び証人2人以上の面前で、封印した遺言書を提出して、自身の遺言書である旨と自らのの氏名・住所を述べること

4 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載し、遺言者及び証人と一緒にこれに署名し押印すること

5 相続発生後は家庭裁判所で検認手続きをとる必要があること

 [注)検認手続きとは、遺言が遺言者の作成したものかどうかの確認と改変を防ぎ保存を確実にするための手続きで、遺言書自体の有効無効を判断するものではありません。]

秘密証書遺言には公証人が関与しますが、費用は公正証書遺言に比べても低廉です。自筆には抵抗があるが、PC(ワープロ)での作成が認められるなら出来そうと思われる方は是非ご一考下さい。

このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 行政書士)

行政書士加藤綜合法務事務所 代表

相続・遺言、宗教法人手続に抜群の実績!川崎駅前の行政書士

行政書士として「権利義務・事実証明書類」の作成・相談を中心に業務を行っています。予防法務の観点から、個人及び法人経営者・代表者の方に適切なアドバイスが出来るよう心掛けています。相続手続、離婚、宗教法人認証業務に関して高い評価を受けています。

この専門家に相談
遺産相続全般について分からなくなったら「相続 専門家プロファイル」へご相談ください。
最適な相続の専門家を無料でご紹介いたします。 相談内容を入力する

※専門家の紹介、また、専門家からの提案・見積りは、無料でお使いいただけます。実際にお仕事を発注する段階で金額などは専門家と個別にご相談ください。