相続放棄物件
株式会社の代表取締役であった父が昨年春に他界しました。
会社の借入金の連帯保証人が父であったため、多額の借金が残り、母、私達兄弟、叔父伯母を含めた相続人すべてが相続放棄の手続きを取りました。
会社の方は破産宣告を受け、破産管財人が選定される筈だと会計事務所の方から聞きました。父の会社の経営内容、状態は家族は誰も把握していませんでした。
会社の資産が5千万ほど、父の個人資産(ほぼ預貯金)が2千万ほど。会社の借入残(未払い分含む)が1億5千万ほど。7千万円近いお金をほぼ無担保で、父の連帯保証1つで貸していた銀行(2銀行)には驚きました。
母の生活していたのは父名義の家でしたので今は母は他にアパートを借りて暮らしております。
その父名義の家の事なのですが、不動産的には土地建物を合わせてもたいした資産価値は無いと思われます。建物も築30年。
あちこちがボロボロで手を加えなければ・・・と言っていた矢先の事でした。すでに雨漏りもしていて、人が住んでいない以上どんどん痛んで行く事でしょう。
この家がこれ以上痛みボロボロになり廃屋と化して崩壊でもしてご近所の皆さんにご迷惑をかける事にでもなってしまったら・・・と思うととても心配なのです。
母も私も近所に住んでおりますので、余計に気に掛かるのです。
この家は今後どうなって行くのでしょう?万が一崩れて他人様に損害を与えてしまった場合、誰に管理責任が生じるのでしょう?
ohayasiさん ( 埼玉県 / 女性 / 44歳 ) | 2008/11/28 21:35
相続人不在の相続財産
ohayasiさん、こんにちは。
弁護士の水嶋一途です。
相続人不在の相続財産については、法律上は相続財産法人という独立したひとつの権利主体となります。
したがって、相続財産について生じた問題については相続財産法人が責任主体となります。
ohayasiさんが懸念されている問題についても、建物が崩壊して第三者に生じた損害は、相続財産法人が負うことになります。
しかし、資産価値がマイナスであることから相続人不在となったのですから、実際にはこの相続財産から損害の賠償を受けることはできないでしょう。
相続人のいない財産の管理は、利害関係人が家庭裁判所に相続財産管理人の選任を求めることにより選任された者が行うことになります(つまり、誰かが申し立てないと管理する者がだれもいないということです)。
通常は土地建物に抵当権をつけている金融機関や、租税の滞納がある場合の公共団体などが、相続財産管理人の選任を申し立てて、競売手続等により土地建物を処分することになります。
もちろんohayasiさんが申立人となって管理人の選任を求めることができますが、この場合管理人の報酬相当額として数十万円を家庭裁判所に予納することが必要です。
少しでもohayasiさんのご参考になれば幸いです。
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