母方と養子縁組した弟の遺産相続について
40代女性です。私には兄と弟がおり、母が一人娘で父(長男)に嫁いで来たため、弟が成人したおり本人の意思で母方の養子となりました。戸籍上は母とは姉弟の関係となります。
この場合、弟の両親の遺産相続権はどのようになるのでしょうか?
また、弟と私、兄とはどのような関係となり、相続(私も兄も子供はおりません)などはどのようになるのでしょうか?
弟は留学費用や住宅費など、親や兄夫婦から、かなりの金銭的な援助を受けておりますが、全く返済しておらず、現在は両親の介護等にも協力せず、私や兄としては、弟に両親や私達の財産が引き継がれるのは快い事ではありません。遺言状を準備するなど、必要でしょうか? 宜しくお願いいたします。
kanabunさん ( 東京都 / 女性 / 44歳 ) | 2006/12/19 13:31
母方と養子縁組した弟の遺産相続について
はじめまして。吉田行政法務事務所の吉田です。
さて、ご質問の件について、以下に記述します。
現在の民法では、「特別養子制度」以外は、養子は実子と全く同じ「子」として扱われます。
今回の弟様の場合も、実子と同等の扱いとなります。
養子になられた弟様については、お母様と姉弟関係になり、お母様の親が死亡された場合、お母様と弟様が「子」の立場で、同等に相続人になります。
また、今までのお兄様、kanabun様、弟様の関係は、まったく変わらず、養子となった弟様も現在の実のご両親の「子」として、相続人になります。
弟様につきまして、今までかなりの経済的援助を受けており、民法上の「特別受益者」として、ほかの相続人より、遺産の取得分を減ずることができます。また両親の介護にも協力しないのであれば、もし、ご両親に万が一のことがあった場合、遺産分割でもめることが予測されます。
従いまして、当方の見解としては、ご両親が認知症でない限り、「公正証書遺言」を作成されることをお勧めいたします。
自分でお書きになる「自筆証書遺言」という方法もありますが、遺言者が死亡されたときに、家庭裁判所で「遺言書の検認」を受けなければなりません。これに反すると5万円以下の罰金を科せられます。
また、その「検認」の際に、死亡した被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍を添付するとともに、相続人の出生から現在までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍および印鑑登録証明書も添付しなければなりません。
公正証書遺言は、遺言者が死亡した時点で開封することができ、また当方と公証人で綿密な打ち合わせのうえ作成するものですので、法的にも無効になることはほとんど考えなくてよいので、公正証書遺言の作成をお勧めいたします。
以上、ご質問の回答になっておれば幸いに存じます。
評価・お礼
kanabunさん
吉田様
その節は、迅速かつ的確なご回答をいただき、大変助かりました。
親の命が脅かされるような事態が明日にでも起きても不思議がない状態なのですが、実際には何も良くも悪くもなっておらず、膠着状態といった感じです。
いずれ必ず直面しなくてはならない、その日、その事態の為に、いただいたような知識を事前に身につけておくことは、とても大切なことだと、よく解かりました。
有難うございました