2年前に死亡した父親名義の土地・建物相続
9歳の時、父の暴力が原因で両親が離婚しました。その後ずっと消息不明であった父親が2年ちょっと前に死亡したと、先日、父親の叔母から手紙が来ました。
叔母が連絡してきたのは、父の死亡を知らせるためではなく、叔母が父と共に住み続けた父名義の土地建物の相続人である私と妹に名義書き換えを(叔母に)して欲しいとの理由からでした。
私と妹それぞれに郵送してきた手紙には、司法書士が正式に作成したと思われる名義書き換え書類が同封されており、文面には私と妹からの申し出により名義を叔母に変更します...という内容が記載されていました。
父の親戚とは30年近く前に縁を切っており二度と係わりたくありませんし、まして実印を押すような書類は怖くて渡せません(文面の記載の仕方もおかしいですし)。
そもそも、父が亡くなったこと自体、2年以上知らされていませんでしたので、なぜ今になって名義変更をしろと言ってきているのか、その意図がわかりません。
また、名義変更により私たちにどのような悪い影響があるのか、逆に名義変更書類を提出しなかった場合、私達に何か不利なこと(罰則など)が起こるのか...などよくわかりません。
名義変更すべき・すべきでないのいずれを選択するのが良いのか、ぜひアドバイスをお願いします。
きょうさん ( 愛知県 / 女性 / 36歳 ) | 2007/12/11 22:35
2年前に死亡した父親名義の土地・建物相続
亡くなった父の財産については、相続人が相続する権利を持っており、相続人以外の人が財産をもらう場合には何かしらの手続きをすることになります。現状なにも手続きしていない状態であれば、その亡父名義の土地建物やその他の財産・債務は相続人であるきょうさんと妹さんのものであり、相続人ではない亡父の叔母は相続人であるお二人の承諾なしに財産を勝手にもらうことができません。
今回のケースではその送られてきた書類を見ないと内容はわかりませんが、その名義変更は亡父から相続人であるきょうさんと妹さんが財産を相続により取得してその財産を父の叔母に渡すのか、亡父から相続人を経由せずに父の叔母に財産を移転する形(相続放棄など)になっているのかで相続税や所得税がかかってくる場合もあります。
もし何もせずにそのまま放置した場合には、権利関係上は特になにも問題が生ずることはないと思われますが、その財産の権利はずっと相続人が持っているため、何らかの手続きをしなければずっとそのままになってしまいます。また、亡父の相続財産の合計額によっては分割されていない状態でも相続税が課税されます。
いずれにしても、亡父が所有していた土地建物以外の財産(預金や有価証券など)についても本来は相続人であるお二人に相続する権利がありますので、その送られてきた書面について不明な部分があるのであれば簡単に実印を押さずにまずその書面を専門家に見てもらったほうがいいでしょう。
事実確認の上、決めましょう。
きょうさん、今日は。CFPの小林治行です。
27年前にいなくなったお父さんの近況が分かったら、既に2年前に逝去されていたと言う事実にどう対応したらよいかとの御質問ですね。
先ず、事実を確認しましょう。
離婚されたあと、再婚されたかどうか?子供はいるのか?
ご質問の内容からは、お父さんが叔母さんと一緒に住んでいたといたということと、土地建物の相続人であるあなた方姉妹に名義変更の依頼が来たと言うことは、再婚せず又子供もいないと思われますが、それをお父さんの戸籍謄本を取り寄せて確認して下さい。
再婚せず、子供もいないとすると、相続人は貴方方姉妹だけとなります。
つまり、その土地建物はあなた方二人が各1/2の持分になります。
その上で、選択肢は三つです。
1)関わりたくないので、叔母に無償譲渡に同意する。送られてきた書類はこの書類でしょう。
2)叔母に渡したくない。当方で処分をするので、明け渡して欲しいと叔母に要求する。
3)譲渡する条件として、金銭でせめて半分程度を頂きたいと金銭の要求をする。
あなた方姉妹で御相談の上、お決め下さい。
1)の場合には署名・実印と印鑑証明を付けて送ればそれで終わりでしょう。書類の内容をよく読ん で下さい。
2)又は3)の時は複雑になりますから、弁護士か司法書士を代理人にして先方に申し入れた方が良いでしょう。(有料です。)
死亡を知った時から、3ヶ月以内に相続財産をどのように配分するかを決め、放棄や法定以外の時は家庭裁判所に申述することになっていますので、そのままにせず、事実確認から始めて下さい。
尚、1)の場合はこれまでと同じ状況でしょうが、2)又は3)は相当軋轢が予想されます。
E-mail hk@kobayashi-am.jp
URL http://kobayashi-am.jp
至急事実の確認が必要です
きょう様 初めまして。オフィス マイ エフ・ピーの吉野充巨です。
叔母様のお手紙でお父様の死と土地建物の贈与を求められているので、関らざるを得ないとお考え下さい。
現況、お父様の財産は、他にお子様がいなければ、きょう様と妹さんの財産です。相続は、「相続の開始を知った日」から3ヶ月以内に承認するか放棄するかを決めなければいけません。放っておけば、単純承認したものとされ、資産と負債を相続することになります。今回の通知で初めて知ったのですから、妹さんと打合せをして、事実をお調べになる必要があります。特に下記の2.は要注意です。
1.今回土地と建物のみ名義変更して欲しいとのお申し出ですが、他の資産(預貯金等)はお父様死亡時に無かったのかどうか。有ればこれも相続対象の財産です。
2.お父様の負債等は如何であったのか、今回の名義変更後に負債があると後から追加で通知された場合には、きょう様と妹さんが相続財産の無い中で背負うことになります。
3.お父様の戸籍を取り寄せ、死亡時に独身であったか、30年間に他にお子様がいないか等、法定相続人の確認が要ります。
4.遺書などの存在の確認。
その他、死亡時の状況も確認が必要と思います、二年も通知せずに今回名義書き換えが必要になって知らせを受けていますから、何らかの事情があると思われます。
司法書士の作成された書類は、当然のことながら、依頼者の意向に沿って作成されるので、相手方の都合の良い文書になります。回答しなければそのままの状況になります。
但し、今回お父様の死亡を知ったわけですので、3ヶ月放っておくと、自動的に相続の単純承認という扱いになり、全てを相続したことになります。
関りたくないとのことですので、信頼できる方か専門家を代理人にして、調査されるようお勧めします。