遺言書の内容と遺言執行人の権限

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たとえ遺言書を残したとしても、相続人全員の同意があればその遺言書とは違う内容で遺産の分割をしてもいいと聞きました。
また、遺言執行人を選任しておくと、執行人の許可がなければ相続財産の登記変更、預金口座の名義変更等ができないとも聞きました。

遺言執行人を選任しておけば、私の残した遺言書のとおりに相続がなされると私は考えているのですが、もし、相続人全員および執行人が遺言書の内容とは違う相続内容に同意した場合、例えば長男にA土地を相続させるとしているのに二男に当該土地を相続させる、ということは可能なのでしょうか。

私が亡くなった後、親族内の力関係で私の意思とは違う相続がされるような気がしています。また、その私の意思とは違う相続に相続人全員が同意するような気もしています。しかし、私は私に一番良くしてくれた者に残したい財産があります。ですから遺言執行人を選任しておこうと思うのですが、もし上記のことが可能であれば、私の意思とは違う相続が行われるのではないかと心配しています。

相続人以外の第三者を遺言執行者に指定するのがよいでしょう

(5.0) | 2013/07/12 13:10

はじめまして、司法書士の高島一寛と申します。

結論から申し上げると、公正証書遺言により、第三者である専門家
(弁護士、司法書士など)を遺言執行者として指定しておくことで、
遺言のとおりの相続が可能となると考えられます。


以下、少し専門的な話になってしまいますが解説いたします。

まず、遺言と異なる遺産分割協議が、必ずしも法律的に有効だとは言えません。
けれども、現実にはそのような遺産分割協議にもとづいて
遺産相続の手続きをしてしまうことは可能です。

よって、相続人全員が同意するならば、遺言と異なる内容の遺産分割が
できると考えて差し支えありません。


そのため、お考えのとおり、遺言執行者を指定しておくことが必要ですが、
誰を遺言執行者とするかも検討すべきです。

民法1013条で「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分
その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。」とされています。

しかし、法務局や銀行では、遺言書や遺言執行者の有無を確認することはできません。

したがって、遺言執行者がいる場合でも、
相続人が作成した遺産分割協議書などを使用することによって、
相続財産の名義変更などの手続をしてしまうことも可能です。

そのような行為に対しては、後から裁判により争うしかありません。


また、遺言執行者がいる場合に、遺言執行者が遺言どおりの執行をせず、
遺言と異なる遺産分割協議に協力するのは問題かもしれません。

しかし、出来るかどうかといえば、そのようなことも出来るわけですから、
ご質問のような事情がある場合には、相続人中の1人を遺言執行者と
するべきではないでしょう。


そこで、公正証書遺言により、相続人以外の第三者である専門家を
遺言執行者として指定し、相続開始後には直ちに遺言執行をおこなえば
お考えどおりの相続が可能になると考えられます。

評価・お礼

pahk101さん (2013/07/16 09:27)

高島一寛先生
御礼が遅くなり申し訳ありません。

わかりやすく丁寧なお答え、ありがとうございました。
執行人を決めていても、誰を執行人に指名するかによって遺言通りに遺産分割されないことがあるとわかり、大変参考になりました。

利害関係のない法律の専門家の方に公正証書遺言の作成と遺言執行を頼もうと思います。
ありがとうございました。

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