土地の相続時精算課税制度について
私41歳(妻)の両親(66.67歳)の土地(父名義と父母共有名義とが混在)に新しく別棟タイプの二世帯分の住宅を建てる計画があります。
両親宅の建築費用として私達夫婦で1500万円、一部分を負担する予定です。
土地の名義を両親のままにして、建てることも検討しましたが、(私の方が、先に亡くなってしまった時など)名義を不安定な状況にしたくない為、「相続時精算課税制度」を利用し、名義を私に変えておきたいと考えています。
土地100坪の内、40~50坪をもらう予定で路線価で2500万弱程度です。
両親宅の建築費用一部負担する分(1500万円)は制度を使わず、両親から土地を購入する形の場合、両親に取得税が発生してしまいますよね?
そこで、両親建物の内1500万円分の名義を自分たちにしておく事はできますか?
また、このような場合も「相続時精算課税制度」は利用できますか?問題となる点はありますか?
この制度を使った場合と両親の土地名義のまま建築し、その後相続の際に土地をもらうのと税金面での負担はどれくらい違いますか?
(登録免許税や土地の分筆費用等)
私には兄弟がいますが、兄弟は両親の土地の分を相続する予定です。
ただ、建物の評価はすぐに下がりますし、相続の頃には価値はなくなり問題無いのかなと考えています。
懸念事項、問題点等のご教授お願いいたします。
KTMKさん ( 埼玉県 / 女性 / 41歳 ) | 2012/10/04 11:37
複数の専門家から助言を受けることが大事
KTMK様、はじめまして。
ファイナンシャルプランナーの森本直人と申します。
ご相談の件、相続時精算課税制度は、一度使うと、暦年課税に戻れないのがデメリットです。
暦年課税だと、年110万円の基礎控除の枠が使えます。
あとは、ご両親から土地を購入すると、ご両親に所得税(譲渡所得)が発生する場合があります。
(取得税と書かれたのは、所得税のことかと思います)
なので、土地は、贈与または、相続で取得するというのは、課税の繰り延べという観点から、妥当な発想といえます。
それと、建物について、共有名義は可能です。
ただし、固定資産税の負担をどうするか、考えておく必要があります。
その他、細かい話は、有料のFP相談を申し込まれることをおすすめします。
匿名の無料Q&Aでは、正確な状況が分かりませんし、責任を持ったアドバイスができません。
ご希望により、税理士、司法書士、不動産コンサル等、各分野の専門家と連携して、サポートすることも可能です。
その場合、FPは、プランの取りまとめと通訳のような役割を果たします。
私も含めて、一人の判断では、落とし穴に気付かないことがありますので、大きく資産を動かす場合は、信頼のとれる複数の専門家からサポートを受けるとよいと思います。
以上、ご参考にしていただけると幸いです。
建物の建て方だけで税金は変わりますのでご注意
KTMK様
相続時精算課税にて住宅建築を予定とのこと。
土地の形状(何筆に分かれていてどのように接道しているかなど)などにより
最善な方法は変わりますので現時点では最善のアドバイスとなりませんが
コメントします。
不動産取得税ですが、新築建物については1,200万の控除がありますから
殆ど掛かりません。
但し建物名義人と住む人は同一という要件があります。
http://www.pref.saitama.lg.jp/site/z-kurashiindex/z-2-9b.html#lnk1
現時点で土地を相続時精算課税で動かすデメリットは
KTMK様に不動産取得税が掛かります。ここが土地名義変更による税負担の変化です。
相続のタイミングで取得した場合は掛かりませんが、相続時精算課税(贈与)の場合は
普通に3%掛かってしまいます。
このあたりが大きな出費です。土地の固定資産標準額の3%です。
路線価ではありません。
また、相続税の事も考えると「小規模宅地等の特例」を使える状態で建築しておきたい
所です。これは土地建物の形状で微妙な判定になりますから建築前に十分注意したいです。
住宅土地の相続評価が80%減になる制度です。
相続税増税を控えていますから、このあたりも注意を払う必要があります。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4124.htm
建物を建築してしまえば、あとから土地はいじりにくくなってしまいます。
本来は合筆しておいた方がメリットがあった、名義を変更しておけば良かった・・・
とならないように、建物建築の方法も一緒に考えていく必要があります。
具体的詳細が分かれば対応可能ですので遠慮なく下記から
お問合せ下さいませ。
株式会社FPリサーチパートナーズ
http://www.fp-research.jp/contact/index.html
御両親に遺言書で土地の事だけを書いてもらったら
はじめまして!税理士の林と申します。
ご質問の文章を拝見しましたが、
1)二世帯住宅(別棟タイプ)を建て、その自分たちが住む家の底地の名義を不安定な状態にしたくない。いい変えると、相続が発生した場合、自分もしくは自分の家族が相続したいということですね。(その代わり、兄弟には御両親宅の底地を相続してもらう)
この場合、確かに「相続時精算課税制度」を利用して名義を確定するのも確かに考えられる有効な手段と思われます。デメリットは、不動産取得税と登録免許税の負担が発生してしまうことなどでしょう。
私は、そういった負担を生じさせないよう、遺言書に自分たちが住む家の底地をKTMKさんに譲ると遺言書で書いてもらえばいいと思いますがいかがでしょう。遺言書は、事細かに自分の全財産について書くのではなく、その一部について書いただけのものでも有効です。兄弟間に特に争いがないのであれば、そういう方法もあるのではないかと思った次第です。詳しくは、弁護士先生に相談ください。
2)次に、両親建物の内1500万円分の名義を自分たちにしておく事はできますか?とのご質問ですが、これは実際の負担をこちらがするのでしたら、名義を負担者にしておかないと逆に贈与が発生してしまいます。
3)建物の評価はすぐに下がりますし、相続の頃には価値はなくなり問題無いのかなと考えていますー建物の時価はその通りです。しかし、建物の評価方法は通常固定資産税評価額で行います。(相続税の建物評価も一緒です)一概には言えませんが、私の経験上、その評価額は実際の建築価額の5~6割といったところではないでしょうか。(あくまで目安にお考えください)通常は、減価償却という考え方をするので、年々下がるように思いますが、固定資産税の場合、減価償却ではなく再調達価額で評価しますので、あまり急激には下がらないのが実情です。
御両親の相続財産の総額、ご両親・兄弟の方の相続に対する考えによっても方向性はまったく異なってきます。非常にナーバスな問題ですので、弁護士など第3者に立ち会ってもらい、将来「相続」が「争続」にならないようよく検討されることをお薦めします。
分筆登記、建築、公正証書で遺言書作成
司法書士の芦川京之助でございます。
ご相談者の場合、上記、ファイナンシャルプランナーの先生や税理士の先生がご指摘のとおり、税金面で、複雑になること、場合によって、税金(譲渡所得税、不動産取得税、登録免許税)が高額となることが予想されます。
そこで、ご提案です。
現在と将来のご兄弟との関係が良好でない場合は、今のうちに、税金はかかってもご相談者名義にしておいた方がよいでしょう。
ですが、私のご提案は、ご相談者とご兄弟との現在の関係が良好であること、将来も良好であることが想定される場合の方法です。
次の手順で進めます。
1 ご両親、ご兄弟、ご相談者とご主人を交えて、建築のこと、建築資金のこと、建物の名義のこと、土地の分け方、土地の名義、ご両親が亡くなった場合の相続の仕方、遺言書の作成などについて、お話しされることです。
これらをご兄弟の了解を得て行うことです。ご兄弟の了解を得ないで、これらを行った場合、ご兄弟から将来、反発があることが高い確率で予想されるからです。
ご相談者とご両親だけで話を進めないことです。
2 ご兄弟の了解を得た上で、土地を2つに分割します。このことを分筆登記といいます。
分筆登記の費用は、通常、土地の分筆の仕方や形状によって、20万円から50万円かかると思ってください。分筆登記は、土地家屋調査士という国家資格者が所有者を代理して登記申請します。
今のうちに分筆登記する理由は、将来、ご両親が亡くなった時点で、ご兄弟との関係が良好でなくなった場合に、遺産分割を含め、分筆登記をすることが難しくなるからです。土地のどこをどう分割するかで話がまとまりにくくなるからです。
3 2棟住宅を建築します。
ご両親がお住まいになる建物の名義は、ご相談者が1500万円分の持分で登記します。
4 2棟の建物表題登記をします。
この登記は、分筆登記と同様、土地家屋調査士という国家資格者が所有者を代理して登記申請します。費用は、通常、1棟当たり約9万円、合計約18万円かかります。
5 2棟の所有権保存登記をします。
この登記は、司法書士という国家資格者が所有者を代理して登記申請します。費用は、通常、ご相談者の建物は約5万円、ご両親の建物は約8万円、合計約13万円かかります。
6 ご両親、それぞれに遺言書を書いてもらいます。
遺言書の作成は、安心、確実な公証人役場で作成します。費用は、お一人約10万円、合計約20万円かかります。
内容は、ご相談者の建物のある土地は、ご相談者に相続させる。ご両親の建物のある土地は、ご兄弟に相続させる。という内容です。
ご両親の住む建物の建築資金をご相談者が出す代わりに、土地を半分、相続するという意味です。
公正証書での遺言書の作成は、次を参考にしてください。
http://profile.allabout.co.jp/w/c-87188/
遺言書の内容についても、ご兄弟の了解を得ておきます。
最後に、ご両親が住むための建築資金としてご相談者が出される1500万円は、上述のとおり、ご両親が住む建物について、ご相談者名義の持分を登記することになります。
将来、ご両親が亡くなった場合、この持分をご兄弟に贈与することもお考えになってください。
以上、参考までに、ご提案させていただきました。
お役に立てれば幸いです。
横浜リーガルハート司法書士事務所ホームページ
司法書士情報館 http://legal-heart.com/main/
相続登記情報館 http://legal-heart.com/
不動産売買登記情報館 http://touki-baibai.com/
不動産贈与登記情報館 http://touki-baibai.com/zoyo/
抵当権抹消登記情報館 http://legal-heart.com/masho/