伯父の遺産相続について

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一昨年伯父が亡くなりました。
伯父は十数年前に離婚しており、長男(以後 従兄弟)を引き取っています。
従兄弟は高校卒業後、職を転々とし、居場所がはっきりしないことも多かったため、伯父に手伝いが必要なときには、私の母が出向いていました。

伯父も常々母を頼っており、最後の入院の際も保険証書や預金通帳などを母に預けて入院し、退院間近で病状が急変しての死去となりました。
母が仕切る形で葬儀や墓の手配、口座凍結解除等は従兄弟の立ち会いのもと、ひと通り済ませたそうですが、またふらりとどこかへいってしまったとのこと。

その後、祖母と母が相談して伯父の住んでいた借家を引き払い、一回忌などもメールで従兄弟に連絡するのみで勝手に済ませてしまったのですが、費用はすべて伯父の遺産から出しているとのこと。
不意の死去でしたので遺書などないのですが「死んだらこのお金で頼む」と伯父に言われているから当然だという認識のようです。

従兄弟はいまだ定職につかず、三回忌を控えた今になって頻繁にメールや電話を母によこし、
「葬儀も墓の購入も自分の意志ではない」「法要なんて金がもったいないからするな」「遺産を全部よこせ」「使った金を返せ」
などと言ってきています。
以前従兄弟に送金したこともあるそうですが、渡せば渡すだけ使い、なくなればまた無心してくるという状態。
携帯電話のメールだけが唯一の連絡手段で、居場所もわからず、電話もメールもこちらからのものにはほとんど返信してきません。

祖父母も母も、伯父や従兄弟には散々迷惑を被り、面倒も細々とみてきたということもあり、伯父を悼む気持ちもあり、従兄弟に自立して欲しいという気持ちもあり・・・という複雑な心境からか、どうしても感情的になってしまうようで、このお金は法要に使うもの、と送金を拒否しています。

私としては、このままにしておいて大きな揉め事になったり、今後何かのトラブルに巻き込まれたりしないのか、ということが気にかかります。
ずっと苦労してきた祖父母にも母にも、残りの人生を従兄弟に振り回されて過ごすようなことはして欲しくありません。

従兄弟に遺産を渡さないことで考えうるデメリットには何があるでしょうか?
また、葬儀や法要費用などは返済しなければならないのでしょうか?
母を説得するために専門家の方のご意見を伺いたいです。
よろしくお願いいたします。

伯父には上記の従兄弟の他に次男がいますが、双方とも伯父の死去当時には成人しておりました。
次男には行政書士さん立ち会いのもと相続放棄?の手続をとってもらったようです。

何もしないで後悔するより、良いことをして後悔した方がよい

(5.0) | 2012/09/14 11:02

司法書士の芦川京之助でございます。

司法書士としての専門外のこともありますが、ご記入いただいた内容を前提に、今後どのように対処したらよいかを考えてみます。

伯父の相続人が、従兄弟の長男だけであることを、まず、確認します。
といいますのも、管理しているお金を返すにしても、誰にどれだけの金額を返さなければならないのかを確定させる必要があります。

二男が相続放棄しているということですが、二男が確かに、家庭裁判所または行政書士立会いでの相続放棄した、というその書面を見せてもらい確認します。
二男が相続放棄した、という書面がない場合は、相続放棄したという書面に、署名、押印してもらいます。
そのうえで、長男に残金全額を返金します。

仮に、二男が相続放棄したということを確認できないのであれば、長男には、残金全額ではなく、相続分の2分の1に相当する金額を返金することになります。

生命保険、預貯金は解約済みで、現金のみ、お母様が管理されているものと思われます。
少なくとも、管理されている現金は、相続人の従兄弟に返さなければなりません。
お祖母様とお母様は伯父の相続人ではありませんので、本来、相続人の従兄弟が受取るべき現金を預かっている、管理している、と理解してください。

お母様が管理している現金は、伯父から葬儀やその他必要な費用の使い道として託されたものと思われます。
基本的には、伯父の死後、葬儀その他必要な費用の出費については、長男や二男の確認・了解を得て行うべきものでした。
ですが、長男がなんら葬儀その他実父亡き後のことをしないまま出て行ってしまったこと、お母様が、伯父の借家の解約手続きも、本来であれば、長男、二男がすべきであったところ、これをしないので、お母様がこの手続をしたことはやむを得ないものと思われます。

ここで、お母様がこれまでしたことの法律行為がどれにあてはまるのか、ということを考えてみます。
亡くなった伯父が、死後の手続をお母様に託したことは間違いないようです。
次に、葬儀も含め、相続人の長男や二男の了解を得ている場合は委任、了解を得ることなく、伯父の現金を管理することになったのであれば、事務管理、ということになります。

委任、事務管理、どちらにしても、現時点で、相続人が確定しているのであれば、法律上、現金を返す必要があります。

従兄弟に遺産を渡さないことで考えうるデメリットには何があるでしょうか? とのご質問ですが、
民事事件として、従兄弟の長男から、返金するように訴えられることが考えられます。
訴えられれば、裁判所で、公の場で、お祖母様、お母様の身の潔白、すなわち、お金を管理していたこと、その使い道が伯父から託されていたこと、善意でしたことを明確に回答しなければならなくなります。

相続人に返金する場合は、当初あった現金の金額、その中から出費した費用の日付、明細、金額を書面で明確にして、残金とともに、相続人に引き渡す必要があります。
引き渡す方法は、相続人が指定した本人名義の銀行口座に振り込む方法がよいと思います。現金で渡すと、受取っていない、と言われる場合が、ごく稀にあるからです。
出金の明細書は、郵送します。

万が一、裁判になり、長男から、葬儀、お墓や法要の費用も返すよう請求された場合は、葬儀、お墓や法要の費用については、その内容と金額が、伯父から託された内容に相応しかったものであることを合理性、論理性があるように、また、お母様がしたことは善意でしたことで、悪意や過失がなかったことがわかるように主張することです。

この内容については、長男に理解できるように、出費の明細書を郵送(渡す)するときに、同封してもよいと思います。

お祖母様、お母様はとても正義感のあるお方であると思いますが、正義感とは反対の結果になることはあります。

仮に、法律の問題とは関係なく、お祖母様、お母様が、従兄弟の長男を本気で立ち直らせたいという一念と、その確固たる自信がおありであるならば、出金の明細を渡したうえで、残金のうちから必要な金額を渡してもよいでしょう。
ですが、これまでも、このような方法をとってこられたことを考えますと、失礼ながら、お祖母様、お母様には従兄弟の長男を立ち直らせることが、困難であると思われます。

ですから、この際、残金を従兄弟の長男に渡し、その関係も清算されることがよいと思います。

お祖母様としては、孫にあたる人に対して、このような対応をしなければならないことに納得がいかないとは思いますが、やむをえないことであると思います。十分良いことをされたのですから。

人生の歩き方100箇条(幸せになるための方程式)
110 何もしないで後悔するより、良いことをして後悔した方がよい

評価・お礼

はぴぃさん (2012/10/15 00:19)

この度は丁寧なご回答をいただき有り難うございました。
お礼のコメントを投稿したつもりでしたがうまく登録できていなかったようなので
ご返信が遅くなり申し訳ございません。

いただいたアドバイスを妹、母に伝えました。
母としても「従兄弟を立ち直らせることが、困難である」というところに
考えるところがあったのか、父や妹とも相談し、
「従兄弟との関係を精算する」という決意をしてくれました。

次男の相続放棄に関しては義弟の知り合いだという司法書士の方に書類を
作っていただいて手続きをしたとのことで、今回もその方に必要な書類を用意してもらい
残金と引換に、従兄弟の署名と捺印をもらったとのことでした。

やはり母としても苦渋の決断だったようですが、
今まで関係のなかった第三者の、しかも専門家からの意見を頂いたことで、
諦めというと変ですが、「本来あるべき形にする」ことに納得ができたといっていました。

従兄弟は書面の内容をちゃんと理解しているとは思えないような態度だったと
妹は懸念していましたが、これまで我関せずだった伯父(なくなった伯父と母の兄)が、今後は協力すると言ってくれたりと、良い方向に少しでも状況を変えることができたのかなと思っています。

母・祖母の気持ちにも配慮いただいた上でのアドバイスは、
芦川様の存在がとても心強く感じられ、嬉しかったです。

今回はお仕事の依頼まで繋げられませんでしたが、また何かありましたらぜひご相談させていただきたと思いました。
ありがとうございました。

芦川 京之助 芦川 京之助 (2012/10/15 21:07)

はぴぃ様 高評価をいただき、ありがとうございます。

従兄弟には、失礼ながら、人の幸せがなんなのか、基本的なところがわかっていないようです。また、人の幸せがなんなのか、気づこうともしないようです。

お祖母様やお母様にとって、人として当然すべきことをされたと思いますが、はぴぃ様は、今回のことを経験されたことで、お祖母様やお母様をより尊敬されたのではないでしょうか。

人は、自分がまじめに一生懸命に、まっすぐ生きていれば、いつでも助けてくれる、相談に乗ってくれるものです。この反対の態度で生きていると、人は助けてくれません。相談にも乗ってくれません。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

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