小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「「既存を壊す」の良い意味と悪い意味」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
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小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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「既存を壊す」の良い意味と悪い意味

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験 2019-05-14 08:00

 「ぶち壊す」などというと、ちょっと物騒なニュアンスになりますが、組織において「既存を壊す」ということは、それが良い意味であることと、悪い意味であることの両方があります。

 

 良い意味で「既存を壊す」といえば、固定概念や非効率な慣習、既得権など、組織の停滞を引き起こしているようなことに対して、それを直す、修正する、変革するといった意味です。

 何を守り、何を変えていくかという判断はどんなときでも難しく、ともすれば、何でも「前例踏襲」「今まで通り」としてしまいがちですが、変わることに積極的でない組織は、いつか必ず衰退します。私も、実際にそういう企業の姿を何度も見てきました。

 組織作りの中で、「既存を壊す」ということは、なくてはならない必須要件だといえるでしょう。

 

 これに対して、悪い意味で「既存を壊す」というのは、良い雰囲気、前向きな行動、積極的な提案などに対して、却下したり抑え込んだり、まさに「ぶち壊す」「水を差す」ということです。

 私が企業の中で見かけるのは、実はこちらの方が多く、ほとんどの場合で管理職、マネージャー、その他リーダーの中に、「やる気がない」「自己保身的」「権威主義的」といった人がいて、その人の言動や行動が周囲の人のやる気や意欲や情熱を、文字通り火消ししてしまっています。

 これは俗にいう会社不満とは少し違って、ある特定個人か、少数の何人かに起因していることがほとんどで、中には経営者自身がこういう行動をしていることもあります。

 一見では「会社批判」でも、その中身は権力者個人の不適当な行動、言動に対する不満です。

 

 先日、ある会社であったことですが、全社の営業目標として、毎年「新規顧客開拓」が設定されていて、みんなはそれを何とか達成しようと、テレアポや顧客訪問から飛び込み営業まで、考えられることを一生懸命に取り組みますが、そんな中の一人の部下に対して、「どうせ無駄だからそんなことをやっても仕方がない」と言った営業リーダーがいたそうです。

 

 何か違う方法をアドバイスするならまだしも、「どうせ既存顧客からしか仕事は取れないから、そちらをやった方が良い」「そもそもの目標が高すぎるから、目標に届くわけがない」と何度も言われたそうで、憤慨した部下から営業部長に相談があり、その話が発覚したということでした。

 

 この営業リーダーは、厳重注意されてリーダー役からも外されましたが、営業部長によると、その数か月前から、営業部門の何人かの活動が遅かったり鈍かったりすることがあったそうです。

 それぞれのメンバーから話を聞いたり、全体にハッパをかけたりしていたそうですが、「おかしいと思っていた原因がやっとわかった」と言っていました。

 

 良い意味で「既存を壊す」というのは、なかなか組織全体には波及しづらいのに対し、悪い意味で「既存を壊す」は、それとは逆に良くない影響がすぐ出てきます。

 

 ただし、すぐに影響が出るということは、気づきさえすれば早く直せるということでもあります。原因になっている当事者が必ずいるので、常にアンテナを張って観察していれば、ある程度の様子はわかるはずです。ここで気づくのが遅れると、原因がわかりづらくなり、本当に元に戻せなくなってしまいます。

 

 良い意味で「既存を壊すこと」はじっくりと様子を見て進め、悪い意味でのそれは、良くない芽をできるだけ早く摘むことが重要です。

 

 

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