小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「売りたい人」からは買いたくない心理
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私は独立して仕事をしているということもあり、広い意味で仕事に良い影響を得るための一環として、人と出会う機会を増やさなければなりません。そこで、様々な団体の懇親会や異業種交流会といったイベントに参加することがあります。
そんな様々なイベントや会合に参加してきたおかげで、ビジネスパートナー、経営者同士の友人、飲み友達など、いろいろな仲間と出会うことができました。一緒にビジネスをしたり、仕事で助けてもらったり、楽しい時間を過ごせたりと、たくさんの良い仲間に恵まれています。
そういったたくさんのうれしい出会いの一方で、出会いの機会を増やそうとすればするほど、その相手に対しては失礼ですが、自分にとっては無用と思ってしまう、わずらわしいだけの出会いもあります。ごく一部の人ではありますが、時間をかけて信頼関係を結ぼうという付き合い方ではなく、目先の商売だけが目的の人です。
私が最も苦手なのは、ただ一方的に「売りたい人」です。相手の事情は大して聞かず、強い押しで自分が扱っている商品やサービスの売り込みをしてきて、しかもそれが一方的でしつこかったりする人です。
名刺交換をした30分後に携帯に電話をしてきて、会いたいとか話がしたいなどと言われます。
少なくとも私は、大した知り合いでもないうちから、一方的な売り込みをしてくるような人からは、絶対に商品やサービスは買いません。これはその人の扱っているものがどんなに高品質であっても、必要と考えていたものであっても変わりません。
理由は単純で、ビジネスでWin-Winの関係を築けない人とは、ビジネスをする気はないということです。
この「売りたい人」に共通しているのは、圧倒的に相手目線が足りないということです。そして、相手の様子に気を配る余裕のなさそうな人たちが多いということです。
経営が厳しいとか、ノルマに届かないとか、その人なりの事情はあるのでしょうが、やはり自分に余裕がない人に相手のことを気遣う余裕などあるはずもないでしょう。
自分の都合ばかりが先行してしまい、その結果として、ビジネス上の成果にもあまりつながっていないという悪循環に陥っている感じがします。
本人はそのことに気づかず、良かれと思ってやっている場合もあるでしょうし、実はそのことには気づいていても、しつこく売り込む方法を思いつかず、やむを得ずにそうしている場合もあるでしょう。
この押しに負けて商品やサービスを買う人がどれだけいるのかはわかりませんが、私の感覚では、たぶん多くの人は、強い押しで売り込まれるのはあまりうれしくないし、購買意欲もそがれると思います。
強引にでも売り込むことが良かれと思っている人はともかく、歓迎されないことに気づきながら、方法が見つけられないという人は、今一度相手目線に立って工夫をすると、ずいぶん結果が変わるはずです。
私は、自分が無用と感じてしまう出会いが少なくなれば、それが一番うれしいですが、世の中の様子を見ていると、まだまだそうはならないのかもしれません。
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