小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「認められるにはアピールが必要」という話
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少し前の話になりますが、あるテレビ番組で、ラグビー日本代表の山田章仁選手の奥様が語っていたことが、とても印象に残っています。
山田選手は真面目にコツコツと練習を続けていたものの、代表には10年間選ばれていませんでした。それではいけないと思った奥様は、「日本人は、黙々と練習していればきっと見てくれて報われると思う傾向にあるが、監督はオーストラリア人だから、ちゃんとアピールしなければ気付いてもらえない。」と、ラグビーに関して一切口出しをしてこなかった中で、唯一のアドバイスをしたそうです。
山田選手は、そこから練習後に必ず監督からのフィードバックを催促するなどアピールし、2012年から念願の代表入りをして、ワールドカップにも出場を果たしました。
この話を聞いて思ったのは、これは会社の上司、部下の関係でも、同じように当てはまる話だということです。
上司へのアピールなどと言うと、「上に媚びている」など、美徳ではないと思って腰が引けてしまうところがあります。私自身も同じような感覚があり、ついつい「上司へのアピールなど不要」と思ってしまいます。
ただ、このアピールという言葉を、「売り込む」「媚びる」「持ち上げる」ではなく、「伝える」「引きつける」「主張する」などと言い変えてみると、ずいぶん印象が変わります。
自分自身のことで言えば、このアピールということは、特に独立してから無意識のうちに考えるようになっていました。その理由は、顧客からの受注を頂くために大事な要素であることと、さらに、自分のやっていることを顧客に理解してもらうと、仕事が進めやすくなるということがあったからです。
上司と部下のコミュニケーションで言うと、よく言われる「報連相」があります。報告と連絡は、上司に自分の仕事状況を知らせることですし、相談は、自分の悩みや困りごとを知らせることですが、考えようによっては、このどちらもアピールということができます。
自分の会社員時代を思い起こしてみると、特にアピールというつもりはなくても、自然のうちに自分の仕事の状況を上司や周囲に知らせるという行動をとっていましたが、それは、その方が仕事がやりやすくなるという面があるからです。
組織の中で良い仕事をしようとすれば、他の誰かに認めてもらうことが必要です。しかし、他の誰かが常に自分に注目してくれるとは限りません
良い立場を得る、良い仕事をもらう、などということを考えれば、自分が取り組んでいることを周りに理解してもらうことが必要で、そのためにアピールが必要になってきます。
特に日本人は、少し苦手な人が多そうですが、自分がやっていることを周りに知ってもらうための「アピール」は、もう少し取り組んでいく必要があると思います。
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