小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「部下の研修を邪魔する上司」の話
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内容や形式はいろいろだと思いますが、何らかの社内研修を実施する会社は多いと思います。
社内研修の企画というのは、どんなに事情が分かった人でも、実は結構難しいところがあります。会社として研修したいテーマがあっても、それが対象者すべての興味に合致するとは限らず、どうしても無理矢理受けさせる“強制”という部分が出てきます。
最近は、キャリア意識が高まってきていることもあり、どんな内容の社内研修であってもわりと肯定的に捉え、積極的に取り組む人が増えてきましたが、それでも全員が高い意識を持って研修に臨むことは、残念ながらありません。これは“強制”という要素がある限りは仕方がないことです。
興味がないことを無理やり学ばせても、それが効果的でないのは当然ですから、研修企画をする中では、できるだけ多くの人が興味を持って受講できるテーマや内容を考えたり、いくつかの選択肢で選べるようにしたり、環境作りのために、研修に送り出す側の上司とコミュニケーションを取ったり、様々な工夫をします。
先日ある会社の役員の方と話している中で、「上司が部下の研修を邪魔する」という話がありました。
本来であれば、上司には研修の事前事後に、どんな内容だったのかを話題にしてもらったり、持ち帰った内容を活用できる場を作ってもらったりというフォローをしてもらうことが、研修を行う側にとっては一番有り難いことです。そこまでではなくても、普通に気持ちよく送り出してくれればよいのですが、一部に「そんな研修はムダだ」「受けても意味がない」「業務では役に立たない」などと言って、部下の意欲を萎えさせるような上司が実際にいるのだそうです。
聞いた様子からすると、そういう上司の態度には、どうも二つの原因がありそうです。
一つは上司自身が自己啓発や研修の場を好まず、誰でもそういうものだと思っている場合、もう一つは、自分が知らない知識やスキルを、部下だけが学ぶことに対する嫉妬のような感情がある場合です。
どちらも共通しているのは、上司自身に学びの姿勢がないということです。
お話をうかがったこの会社では、「上司にも部下の研修を邪魔させない教育が必要だ」などとおっしゃっていました。
「部下にこんな研修をする」というさわり程度の内容をレクチャーし、嫉妬を薄めたりプライドを汚さないようにしたり、できれば自分でも学ぼうという興味を持ってもらったりということも、社内研修を実施する上での前さばき、環境作りとして必要だということでした。
社内研修に対する文句や意見というのは、あまり学ぶ姿勢がない人の方が強く主張するところがあります。それが上司であったりすると、その扱いには意外に困ります。
社内研修で効果を得ようと工夫をしても、一筋縄ではいかないことがいろいろあります。
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