小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「リーダーに必要な3つの目」が一人でそろわなければつなぎ合わせればよい
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すでに聞いたことがある人は多いと思いますが、特にリーダーには、物事の見方としての3つの目、「鳥の目」「虫の目」「魚の目」が必要だと言われます。
「鳥の目」は、大所高所からマクロ的、大局的に物事全体を把握する俯瞰の目、
「虫の目」は、物事に近づいて様々な角度から細部を見つめる複眼の目、
「魚の目」は潮の流れのような周りの変化、時代の流れのようなものを敏感に感じ取る目、
ということです。
経営者をはじめとした組織のリーダーは、この3つの目をバランスよく持っていることが欠かせないと言われますが、そんなリーダーが十分に育っているかといえば、残念ながらどの会社でもそういう状況ではありません。
多くの場合、自分の身の回り以外の視点は欠けがちで、要は「虫の目」はあっても、他の二つが不足している、さらには、自分に身近な「虫の目」ですら怪しいという人もいます。
この広い視野が欠けやすい要因には、もちろん本人の能力的な問題もありますが、他にもいろいろなことが考えられます。
例えば、そういう視点を要求されない、そのための情報がない、目先のことの優先度が高い、などということです。
「鳥の目」は周辺事情まで含めた大局的なこと、「魚の目」は市場動向やこれからのトレンドなどといった中長期的な将来に向けた視点ですが、これらが欠けてしまうのは、結局は自分に直接関係がないので、その視点を持つ必要性が希薄だからです。
「リーダーは3つの目をバランスよく持つ意識が必要だ」とは言うものの、こんな環境があることを考えると、ただ本人に意識しろと言うだけでは、事態はあまり改善しないでしょう。
私が思うのは、リーダー自身が「3つの目」を身につける努力をするのは当然として、やはりその人によって得意な視点があるということです。
ある人は「鳥の目」は鋭いが、大ざっぱで「虫の目」が苦手、またある人は、トレンドに敏感で「魚の目」は優れているが、全体の位置づけを見る「鳥の目」が欠けているなど、人ぞれぞれの得意不得意があります。
確かに優秀なリーダーは、この「3つの目」をすべて兼ね備えていて、多少の得手不得手はあっても、そのすべてが一定以上のレベルにあります。ただ、世の中にいるリーダーの多くがそうなることは、なかなか難しいと思います。
組織の目的は、属している者の協力でシナジーを生むことですから、何でも一人でやる必要はありません。「鳥の目」「虫の目」「魚の目」という3つの目も、それぞれが得意な視点を発揮して、それをつなぎ合わせれば良いことです。
リーダー自身がそれを身につける努力をすることは前提として、その一方で、一人が「3つの目」のすべてを兼ね備えるのは難しいということも、同じように前提として考える必要があるのではないでしょうか。
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