小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「協調性」が行き過ぎて「依存性」となっていないか
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仕事をする上では、何から何まで自分ひとりだけでできる訳はなく、いろいろな方々からの支援や助言を得ながら、他者と協調することは大切です。チームで動く方が大きな成果が得られますし、私自身も今までの経験から、チームで何かを達成する喜びは知っているつもりです。
あくまで自己評価ですが、自分ではそれなりの「協調性」はあると思っています。
その一方で、大きな組織に属している訳ではない今の自分の立場では、今の私は組織に属している訳ではないので、どんなことでも最後は自分の責任で決めなければなりません。ですから、自己決定ができない状況は、私にとっては最も好ましくないことであり、最後は他人の意見にとらわれないということでいえば、「協調性」に欠けていると言われてしまうところがあるのかもしれません。る部分があるのかもしれません。少し注意をしなければならないところです。
私は、企業内で行われるような評価面談やその他の社員面談、採用面接などにも関わりますので、そこで多くの人たちからお話をうかがいます。その人の性格的な特性が話題になることもありますが、そこで「協調性」を挙げる人は、結構多いと感じます。
特に採用面接のような場であれば、その組織になじめる人、周囲とうまくやっていける人の方が、会社にとって望ましいことと考えて、応募者はそれをアピールしようとするのが当然でしょうし、そこで「協調性」は重要な要素ですから、それを強調したい気持ちもわかります。
ただ、最近特に感じるのは、この「協調性」への意識が強すぎて、逆に「依存性」になってしまっているように思われる人が多いことです。
例えば、上司や会社からの指示命令に対して、思っていることがあったとしても、それは表に出さずに従うだけであったり、不当と思われる扱いに対しても反論をしなかったりということがあります。さらに、何かちょっとした身近な議論をする中でも、自分の意見を結論的には言おうとしないということがあります。
ここには、「言いたいけど言いづらいから、言うと不利益につながるかもしれないから我慢する」という“非主張行動”の側面もありますが、どうも「誰かが決めてくれる」「自分以外の誰かに決めてほしい」「自分の責任で決めたくない」という、他者に対する依存性を感じることがあります。
先行きが見通しづらい今の環境の中で、とりあえず誰かにすがりたいという気持ちがあるのかもしれませんが、話を聞きながら、決して新人レベルではないその人が置かれている立場を考えると、「それは協調ではなくて依存ではないか」と突っ込みたくなる頻度が年々増えているように感じます。
他者を尊重しながら協調することは大事ですが、その中には行き過ぎがあって、他者への依存が増している状況が気になります。
上司任せ、会社任せ、他人任せで依存しているツケは、結局自分に返ってきます。
自分が考える「協調性」が、実は他者に丸投げ、お任せの「依存性」に陥っていないかを、今一度考える必要があるように思います。
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