小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「「宿題代行サービス」で思い出すかつての成果主義の失敗」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
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小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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「宿題代行サービス」で思い出すかつての成果主義の失敗

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 私の思い・考え 2017-02-14 08:00

 数年前の夏休みの終わり頃でしたが、「宿題代行サービス」というものが話題になったことがありました。

 その当時から、「子どもの学力を奪うごまかし」「お金でなんでもできるという歪んだ価値観を子どもに植え付ける」「教育犯罪そのもの」と厳しく批判する声が挙がっていましたが、今でも“宿題代行”とネット検索すると多くの業者が存在していて、“信頼できる業者ランキング”などというサイトまでありましたので、それなりに定着したサービスということなのかもしれません。

 

 こういう業者があることを初めて聞いた時、私はそれ自体が驚きでしたが、確かに依頼しそうな人がいるだろうとは思いました。もし自分の子供時代にこういう話があったとすれば、「頼んだら楽だろうなぁ」と思ったでしょうし、本気で依頼したいと思ったかもしれません。

 

 しかし、学校の宿題というのは、各自の学力向上が主な目的であるはずです。そのためには、宿題には実際に本人が取り組むというプロセスが重要です。

 ただ、これを「宿題が良い出来で終わった」ということだけを優先すれば、どんな取り組み方をしたかというプロセスは関係なくなります。誰がやっても、どんなやり方をしても、評価される結果で提出されればそれで良いという考え方です。これはあまり良くない意味での「結果優先主義」だといえるでしょう。結局は何を優先するかの捉え方の違いによって、こういうものまで商売になってしまうということなのでしょう。

 

 こんなことを見ながら思い起こすのは、企業において旧来の成果主義がうまくいかなかった頃のことです。

 「結果を重視する」というお題目のもとに、目先に見える結果ばかりで評価をするようになり、プロセスを軽視し、人材育成をはじめとする中長期の取り組みは後回しになり、数値目標ばかりを追いかけるようになった結果、これではダメだという揺り戻しが起こりました。

 

 私は成果主義という考え方自体は悪くはなかったものの、「何を成果とするか」という点が適切でなかったために、うまくいかなかったのだと思っています。

 最近あらためて進められている成果主義は、このあたりの反省が含まれていて、かつての物よりは、ずいぶんマシになってきています。

 

 話題になった「宿題代行サービス」も、期限までに適切なものを作り上げるということを最優先にすれば、当然あり得ることだと思います。いくら批判されても、これで良しとするような人たちはいるでしょう。ただ、本来の目的を考えれば、それを踏み外してしまっているのではないかと思います。

 

 「宿題代行サービス」は、かつてうまくいかなかった成果主義と、同じ根っこを持っているように思えて仕方がありません。

 

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