小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「「ピントがずれた積極性」の扱いづらさ」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
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小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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「ピントがずれた積極性」の扱いづらさ

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験 2016-06-28 08:00

 最近耳にすることが多い企業内の人材に関する悩みは、「消極的で自分から行動することが少ない」「受け身」「指示待ち」という話です。

 

 少し抽象的なニュアンスで“自律人材”や“人間力”といったキーワードが出てきますが、要は「もっと自分から行動を!」ということのようです。

 できることならいちいち指示をしなくても、自分で決めることと上司に相談することを適切に切り分け、自己判断のもとに行動ができるという人材が、望ましい人物像なのだと思います。

 

 しかし、これはある会社で伺ったお話ですが、自分から積極的に行動し、自分からどんどん働きかけては来るものの、「適切な判断」という点で問題がある人材がおり、この人の上司がおっしゃっていたのは、「消極的な方がよっぽど良い」ということでした。どう指導するかということにかなり苦労している様子でした。

 

 この人は、他人からの指示を待たずにとにかく自分から動き、周囲に対しても「ああしましょう、こうしましょう」と、自らいろいろな提案や働きかけをしてくるようです。

 しかし残念ながら、そのどれもが今一つピントがずれているそうです。そのためにその人の提案を採用したり、仕事上の判断を任せたりということはなかなかできないそうです。

 

 お話を聞いて思ったのは、「行動しない人を動かすより、行動する人を制御する方が難しい」ということです。

 

 行動が消極的な人は、指示しなければ動かない代わりに、よけいなことをする懸念は少なくてすみます。

 やるべきことが理解できていないために行動できないことはもちろんありますが、頭は働いていてやるべきことはある程度理解しているものの、慎重になりすぎていて行動できないという部分が数多くあります。行動する後押しをして、それがパターンとして身に付けば、その後はある程度自分から行動することができるようになります。

 

 一方、自分から積極的に行動するがピントがずれている人は、そもそもやるべきことの理解や結果の想定など、考えていなかったり考え自体が浅かったりすることが多いように感じます。

 また、何をどこまでするかを周囲から見極めきれないところがあり、上司が気がついた頃には先走って取り返しがつかなくなっていたり、話がおかしな方向に進んでいたりします。途中経過が報告されればよいですが、ピントがずれているので、そのあたりもままなりません。

 

 本人は、何が悪いのかを今一つ理解できていないので、何かことが起こる度に、考え方や行動の仕方をその都度指導するしかありません。また、先回りして行動を止めるようなことも必要になるので、上司も気が気ではありません。

 

 前者は考えていること自体はそれほど間違っておらず、本人の意識や自信の問題も大きいので、経験させれば比較的早く解決することがありますが、後者は考え方や方法が間違っている訳ですから、業務能力そのものの問題になります。指導するには当然手間も時間もかかります。

 

 日ごろは「なぜ動かない」「なぜ気が利かない」と嘆くことが多いかもしれませんが、これとは正反対の、ピントがずれた積極性を持った人材を扱う方がよほど大変です。

 多くの人のお悩みの多くは、もしかするとまだマシな部類なのかもしれません。

 

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