小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ活気がある会社とない会社の間で見える一つだけの違い
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いろいろな会社におうかがいしていると、活気を感じる会社とそうでない会社の両方に出会います。やはり現場の活気の度合いは、業績にも比例していると思います。
活気の感じ方というのはあくまで主観になりますが、私が活気の有無を感じる大きな要素は一つだけで、周囲の人たちとの「コミュニケーションの量と質」です。
まず「コミュニケーションの量」に関して言えば、例えば私のような社外の人間が訪問した時、頻繁に挨拶される会社があるかと思えば、目も合わさず完全に無視される会社があります。
挨拶というのは、「存在を認識したと相手に伝える行為」なので、コミュニケーションの最も入口の部分ですから、挨拶のない会社では全体的なコミュニケーションの量が少ない場合がほとんどです。
しかし、挨拶されるから良いかというとそうでもなく、それだけを口うるさく指導され、義務的にこなしていると思われる会社があります。こういう会社も挨拶以外のコミュニケーションは不足する傾向なので、やはり活気があるとは言えない雰囲気になります。
また、静かで声が聞こないからコミュニケーションの量が足りないかというと、これも必ずしもそうではありません。今はネットを通じたコミュニケーションもありますし、各社員が仕事に集中していて静かな場合もあります。
ただ、コミュニケーションの量が十分で、活気があると感じる会社を見ていると、やはり何らかの適度な会話がされていることが多いと感じます。集中によって静かな場合は、個人個人の仕事が独立しているということなので、一部に限られるのではないかと思います。
では、会話を交わしていれば活気があるかというと、これまたそうでもありません。今度は「コミュニケーションの質」の問題があります。
職場での会話の内容を聞いていると、仕事に関する確認や認識合わせなど、業務に関係がある話をしていることもあれば、完全な世間話や雑談ということもあります。
雑談はお互いの関係を円滑にする効果もあるので、悪いことではありませんが、中に四六時中雑談ばかりという会社があります。
会話の様子だけを見ると活気があるように見えますが、度が過ぎた雑談は、仕事場の雰囲気としては緩み過ぎになります。気が散って手が遅くなる、ミスが増えるなど、生産性が低いことがありますが、やはりこれは「コミュニケーションの質」が悪いということになるでしょう。
活気というのは、その場の空気感でもあります。初めは強制されたものであっても、徐々にそれが定着し、「コミュニケーションの量と質」が伴って活気が出てくるということがあります。現場の状況に合わせて適切に対処すれば空気感が変わり、活気がある会社に変えられるということです。
逆に勤務時間中のムダ話が多いということで、雑談を制限したら他の必要な会話も減ってしまったというような例もあります。対処のしかたを間違うと、活気を失わせることがあるということです。
私がお手伝いするような人事施策の中には、こんな小さな取り組みも数多くあります。小さくて身近なことではありますが、現場の状況を客観的に見て、より良い対処をするのは意外に難しいことです。
活気があって業績が上がる組織作りにおいて、実はこのあたりが一番大切な部分ではないかと思っています。
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