小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「○○満足」では動機づけにはつながらない?
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最近は「顧客満足(CS)」「従業員満足(ES)」など、“満足(Satisfaction)”と言う言葉がキーワードになることが増えました。満足感が伴わないと、購買行動や業務へのやる気など、動機づけにつながらないということが一番の理由でしょう。
ただ、先日あるコンサルタントの方からうかがったお話で、興味深かったことがあります。それは、「満足感では動機づけにつながらない」というものでした。
今はほとんどの人たちが、生活レベルや経済力にかかわらず、「幸せか?」と聞かれれば「幸せです」と答えるように、多くの人がそれなりの満足感の中で生活していて、どうしても欲しいものがある訳でもなく、どうしても実現したい仕事上の何かがある訳でもないということが多いのだそうです。
人間には、現状に満足していてもさらに上を目指そうとする「成長動機」があると言われていますが、この「成長動機」というのは、最近の研究によると、実はそれほど強く存在しないのではないかと言われているのだそうです。
そうなると、すでに満足しているところにそれ以上の満足を注入する余地は少ないですし、成長動機が少ないこととも相まって、「ただ満足感を与えても、それが行動するための動機づけにはつながりづらくなっている」ということでした。
このお話にはさらに続きがあって、こういう時代の中で、人の行動を動機づけするためには、“満足”のさらに先の“幸福(Happiness)”を提供していかなければならないということでした。「顧客幸福(CH)」「従業員幸福(EH)」なのだそうです。
「満足感」というのは、与えられた物に対する感情なので、必ずしも成果と相関しないのに対して、「幸福感」は自分で創り上げた物に対する感情なので、成果と相関しやすい傾向があるということでした。
この話に、私自身はなるほどと思って共感しましたが、 “満足”と“幸福”の違いがそこまでわかっている訳ではありません。ただ、自分のイメージとしては、「満足感」にはどこかにゴールがあるが、「幸福感」にはそれがないという感覚でとらえています。際限がなければ、その分動機づけにはつながりやすいような気がします。
また、自分で創り上げた物に対する感情が「幸福感」であるならば、行き過ぎた指示命令、強制、アメとムチの外的報酬ではなく、自律的な判断、組織への帰属や貢献、それに伴う内的な報酬が大事ということになります。まさに私自身の取り組みテーマになっている部分です。
人事という世界でいえば、今まで以上に社員個人の内面に目を向けていかなければならない時代なのだと感じています。
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