小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「会社情報はネットで調べる」と言われたある会社の感じ方
-
就職活動は、インターネットの活用が当たり前の時代です。
昔のアナログな時代のように、情報不足や情報格差を感じることは少なくなりましたが、今は逆に情報量が膨大になりすぎて、いかに必要な情報を取捨選択するかの方が難しくなってしまっています。
ある会社の説明会でのことですが、最後に書いてもらうアンケートで、「今後どうやって当社の理解を深めていきますか?」ということを聞いています。そしてその答えの大半は、「インターネット、ホームページで調べます」という回答です。
実はこの会社は、少し特殊な守秘義務を持つ業界のため、たくさんの情報をホームページ上に開示することが難しい会社です。業界自体の情報も、ネット上にはごく一部の偏った情報しか出ていません。ですからこちらの会社説明会では、業界の話や仕事内容の説明を、非常に細かく丁寧に行います。
そんな中で「会社情報はネットで調べる」と言われてしまうと、この会社での反応は、「ネットでは調べられないんだよなぁ・・・」となります。本音で言うと「もっと直接的に、いろいろ質問をしてきて欲しい」という感じのようです。
今の世の中では「ネットで調べる」という流れが当たり前であることは理解しているものの、それがどこか受け身なように感じてしまい、納得しきれないようです。
これに対して、また別のある会社では、ホームページでの情報開示にとても力を入れています。ページ数もかなり多いですが、大半のことは自分で調べることができます。
こちらの会社の場合、自社の情報は、「ホームページを見ればわかるはず」という思いがあります。結構目立つ場所に書いてあることを、面接でとんちんかんな回答をされ、「調べる気がないのは、うちの会社に興味がないんだな」という捉え方をします。
これらのことを指して、会社情報をネットで調べることが、良いとか悪いとか、それぞれの会社の捉え方が偏っているとかいないとか、そんなことを言うつもりはありません。
ただ、ネットとリアルの間には一定のバランスが必要です。これは就職活動だけに限らず、どんな環境でも、どちらか片方だけでは通用しないということです。
「直接聞きに来てほしい」という会社でも、ネットの情報を全く調べていなければダメですし、「ホームページを見ればわかるはず」という会社も、会話の中から質問や疑問や確認したいことが何も出て来なければ、やっぱり印象は良くないでしょう。
会社側の勝手な言い分と言ってしまえばそれまでですが、ネットとリアルのバランス感覚は、仕事においても、人間関係においても、その他どんな場面でも必要です。
少なくとも、向き合った相手がどんなバランスを良しとしているか、それを感じ取ろうとする努力は、やっぱり必要なのではないかと思います。
「社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集」のコラム
「カリスマリーダー」は配慮が細かいという話(2024/01/31 23:01)
「うちは特別だから」という会社の話(2024/01/10 22:01)
メリットだけではない「離職率の低さ」(2023/12/06 23:12)
「いつでも機嫌が良い」というリーダー資質(2023/11/01 16:11)
「根気の続かない人」と「融通が利かない人」(2023/10/19 13:10)
このコラムに関連するサービス
当事者では気づきづらい組織風土の問題をアドバイス。同テーマ商品の対面相談版です。
- 料金
- 6,000円
「今一つ元気がない」「何となく一体感がない」など、職場の風土や雰囲気に関する悩みについては、当事者しかわからない事情とともに、当事者であるために気づきづらい事もあります。これまでのコンサルティングで、活気を維持する、活気を失う、活気を取り戻す、という様々な事例、プロセスを見た経験から、会社状況に合わせた原因分析、対策をアドバイスします。(同テーマのメール相談を、より詳細に行うための対面相談です)