小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「社員に「起業家精神」を求めることへのちょっとの違和感」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。

小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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社員に「起業家精神」を求めることへのちょっとの違和感

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 私の思い・考え 2015-02-24 08:00

「会社で起こることを人任せにしない」

「何でも我がこととして仕事にあたる」

「全体を見渡す広い視野を持つ」

「経営資源(人、モノ、金、情報・・・)を意識する」

「目的意識、コスト意識を持つ」

「組織を率いるリーダーシップ」・・・・.etc

 

 このような内容を「社員として望ましい行動」や「望ましい人材像」として掲げ、社員に意識、浸透させることで、より良い行動につなげようという取り組みをすることがあります。

 会社として望ましいと考えていることを言葉で明示することは、こういう取り組みをする上では大事なことです。

 

 「自責」や「自律」といったたぐいのことでいえば、私自身が今は会社員ではないせいもありますが、企業で働く友人や仲間、後輩たちと話していて、会社の愚痴などが出てくるのを聞いていると、「それなら自分でやればいいのに・・・」などとついつい思ってしまうことがあります。

 

 もちろん、会社にいればそう簡単にいかないことも重々承知していますし、私も会社員時代はそうでしたが、今となって見ると、「他責にして行動しようとしていない」ように見えます。

 会社が社員に対して、「社員として望ましい行動」「望ましい人材像」といったことを明らかにしておくことは、私は良いことだと思います

 

 ただ、これは特に中小企業においてですが、「社員であっても“起業家精神”を持つべき」ということを掲げる経営者がいます。社員に向けて「起業家精神」を求め、「自分の食いぶちは自分で稼げ」などと言ったりします。

 

 私は、社員に「起業家精神」が必要なのかといわれると、そこには少々違和感があります。

 そもそも「起業家精神」を持っている人は、基本的には起業したい人である訳で、組織に残ってその組織の一員として貢献していくということとは、あまりつながらないと思うからです。

 

 社員に「起業家精神」を求めるということは、言い換えれば「独立奨励」ともいえます。その独立した元社員たちと取引をして、自社のビジネスを広げて行くような発想があるならば、それもアリだと思いますが、そうでなければただの「人材流出奨励」です。なおかつ流出していくのは、自社にとっては優秀な人材に他ならないでしょう。

 

 強い組織にするために、多くの社員が「会社として望ましい行動」をしてくれるようになることは必要ですが、それはあくまで「組織に帰属した上で」という前提があります。

 もしも求めた通りに「起業家精神」に目覚めて、結果的に巣立っていく社員がいたとしても、会社が初めからそれを望んでいることは、実際にはほとんどないのではないでしょうか。特に中小企業ではそうだと思います。

 

 求める人材像などの会社の想いを、どんな言葉を使って表現するかということは、実は意外に繊細で大事な部分です。

 そう考えると、少なくとも社員に向けて発信するものとしての、「起業家精神」という言葉は、ちょっとふさわしくないのではないかと思います。

 

 

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