小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ学生の「大人慣れ」が足りない?
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少し前になりますが、大学生の就職活動に関する新聞記事で、『「大人慣れ」しない就活生が増殖!』というものがありました。
就職活動の環境変化により、あまり足を使わない学生が多いのが最近の傾向で、今は説明会予約もエントリーシート提出もネット経由なので、そんなバーチャルな世界だけで就活している気になってしまっているということでした。
一昔前は、説明会の予約などは電話で行っていましたから、そこで社会人と話をし、OB訪問などで会って話をし、徐々に「大人慣れ」してから面接にのぞんでいましたが、今はネット偏重で、大人との接点がないために、「大人慣れ」していない状態で、いきなり面接となって失敗してしまうのだそうです。
最近の就活中の学生の様子を見ていると、確かに面接等での緊張度のレベルが、年々上がってきているように思います。私は単純に就活が厳しいからだと捉えていましたが、「大人慣れ」といわれると、なるほどそういうところもあるのかという感じです。
ただ、「大人慣れ」が足りないということには、ちょっと解せないところもあります。
以前に比べれば今は少子化で、大人の中に子供が一人、二人というような状況は昔より多く、そういう意味では、子供の頃から大人たちの輪の中に入っていて、大人たちと接する機会は増えているはずです。
私の感覚では、最近の小中学生の世代だと、親世代の大人に物おじせずに話しかけたり、自分から接触してくるような子供たちが増えているように思います。昔より「大人慣れ」がしやすい環境であり、少なくとも子供の頃は、実際に「大人慣れ」もしているように思います。
しかし、それが就活の頃になると、まったく変わってしまっている訳で、これはただ単にネット偏重の就活のせいだけではなく、もっといろいろな原因があるように思います。特に高校生から大学生の頃にかけての、社会との関わりの部分で何かあるのではないでしょうか。
「大人慣れ」の問題で、就活の環境変化だけに答えを求めるのは、少し無理があるように思います。「大人慣れ」というのは、結局は自分と違う幅広い世代の人と、どれくらい直接触れ合った経験があるかに尽きる訳で、早いうちからそういう機会をたくさん作っていくしかないと思います。
就職活動の支援というのは、実はそんな初歩的なところがポイントなのかもしれません。
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