小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ良い転職につながる要素になる「転職先での理解者」
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転職という形で仕事の環境を変えることで、それが良い結果になることもあまりそうではないことも、どちらの場合もあると思います。
転職については、私もいろいろな人から意見を求められ、その人に応じていろいろなお話をします。中にはあえて環境を変えない方が良いと感じることもありますが、そう思った人が結果的に転職を選択することもあります。そんなご本人から転職後の様子を聞いたりすると、予想に反して良い状況になっていることよりは、やはりあまり良い状況になっていないことの方が多い感じがします。
あくまで私が見てきた範囲だけですが、何度も転職を重ねるごとに、行き先の会社規模は小さくなり、仕事内容は限定的になり、給料も下がっていくような、何のための転職かわからないような状況を目にしたこともあります。
そんな様々な人たちの転職の様子を見てきた中で、私の基本的な考え方は、「まずは今いる場所でやれることをやってから転職を考えるべき」ということです。
この考え方を間違いと思う訳ではありませんが、ある時見ていたテレビ番組の中で、ちょっと考えさせられることがありました。
小学生ながら天才的な俳人で、句集も出版しているという子の話題でしたが、その子は自分の学校でいじめにあっていて、なかなかスムーズに通えていないのだそうです。
そんな中で、彼の俳句を教材に使っている小学校があり、彼がその学校を訪ねた時の様子が放映されていました。
訪問先の学校の子たちは、彼がいじめにあっていることも作品を通じて知っており、暖かくクラスに迎え入れ、みんなで優しく声をかけ、本当に昔からの友達のように接していました。
訪ねた彼も、自分の学校にはなかなか通えなかったり、行っても一人ぼっちだったりしていた状況から一変して、本来の学校生活の楽しさを感じることができたようで、途中からずっとうれし泣きで涙が止まらないようでした。
私はこの子に「今いる環境でできることをやりなさい」とは、やっぱり言えません。自分でどう振る舞っても、相手にいじめをやめさせることはなかなかできないでしょう。でも、ちょっと環境を変えれば、自分のことを理解して、暖かく迎え入れてくれる人たちがいるのです。彼がこの訪問先の学校に通うことができるとしたら、きっと楽しく豊かな学校生活が送れるのではないかと思います。
転職においても、きっと同じような場面はあるはずです。相手が自分を十分に理解してくれていて、入社を心から望まれていて、その上で自分がやりたい仕事がそこにあるとすれば、あえて今の環境に残る意義はないかもしれません。
もしも新たな環境に、自分を良く知る人がいる、今以上に自分を理解してくれる人がいる、多くの人が歓迎してくれるならば、転職という選択が良い結果につながる確率は高まるのではないかと思います。
「転職先の理解者」の存在が、良い転職につなげる上では大きな要素の一つになるのではないかと思います。
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