小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ危機を危機と気づける感性
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今問題になっているカネボウ化粧品の白斑被害の話ですが、実は2011年ごろからすでに苦情としてあがっていたそうです。しかし、化粧品によるものではないということで内部処理されていて、その結果対応が後手になってしまい、被害が拡大してしまったということのようです。
商品トラブルへの対応について、社内にそれなりの仕組みはあったようですが、それがうまく機能しなかったということです。
いくら仕組みがあっても、そこにあがってきた情報をどう分類してどう判断するかは、最終的には対応する人の問題になるので、結局はその人に危機を察知できる感性があるかどうかにかかってきます。
これほど大きな問題にはならなかったとしても、こういうたぐいのことは実はどこの会社でも、何かしらあるはずです。
ある企業の工場の話ですが、同じ設備で同じオペレーションで同じマニュアルで操業しているにもかかわらず、不良品率がいつも高いところといつも低いところがあるのだそうです。その違いが何かを聞いてみると、不良品率が低い工場には品質意識が高い熟練の技術者がいて、“こういう時にはこんな不具合が出やすい”“この作業はここを注意した方が良い”など、マニュアルだけにとらわれず、作業者のスキル、作業の難易度、さらには気候や原材料の状態といったところまで、総合的に見極めた上での予防的な管理をしているのだそうです。マニュアル化できるのは最低限のところまでで、それ以上のところ、やっぱり最後は“人”次第ということです。
よく「最悪の事態を想定しろ」と言いますが、どうなることが最悪なのかを想像する力がないとできません。状況把握のための情報収集、適切な判断のための経験値も必要でしょう。
少なくとも関係者が「最悪はどんな状態なのか」を常に想定しているだけでも、危機管理のレベルはずいぶんマシになるのではないかと思います。
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