2月2１日に、かねてから行きたいと思っていた白洲次郎旧邸：武相荘へ行ってきました。武相荘は神奈川県にほど近い東京都町田市の郊外にあり、旧国名でいう武蔵国と相模国との境の近くであることと、無愛想という言葉を掛けています。戦時の高揚から身を置き、しかるべき時に備えて一農民として身をひそめる彼の先見の明がうかがえます。

　武相荘は、農家をされていた方が手放した家で、彼が購入した昭和18年当時は、長年手を入れていなかったのでかなり荒れていたとのこと。暖炉を入れたり、書斎を作ったりするなどして手を加えているのですが、完璧な家を作るとさらに完璧さを求めてしまうようになるため、あえて不便さを残したとのことです。竹藪があることで、夏の日差しや冬の北風からはある程度守られ、密集した住宅地である周辺からは遮断されています。

　東側には立派な門があり、そばには車が入るガレージがあります。ガレージにはNHKドラマで実際に使われたクラシックカーがあります。ガレージの横にはお酒が飲めるバーカウンターまであります。田舎の不便さを受け入れながら、おしゃれな暮らしをされていると思いました。イギリスの貴族階級の方も、もしかしたら白洲次郎氏のような暮らしをしているのでしょうか。今の私たちに必要な素養と感じました。

　昼食は離れの食堂で、白洲次郎がシンガポールで教わったエビカレーをいただきました。スパイスが効いた本格的なものでした。食事はただ食べるだけでなく、人をもてなしたり、物語を伝えたりするためのものだと実感しました。

　羽田空港からバスと電車とを乗り継いで2時間近くかかりました。不便さを乗り越えたところに、本物があるのかもしれませんね。