石橋 大右
イシバシ ダイスケ太陽光発電システムは「本当に」環境に優しいエネルギー?
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太陽光発電システムやバイオマスなど、再生可能エネルギーは次代のエネルギーとして、そして火力発電などのように電力を作る過程で二酸化炭素を全く排出しないことからCO2の削減に向けても期待が高いエネルギーです。そんな地球に優しいとされる太陽光発電システムですが、実は地球環境のことを考えると、課題も多いことを知っておく必要があります。
そのひとつが太陽光発電システムを製造するために排出される二酸化炭素や化学物質が増加していることです。
太陽光発電システムの普及に併せて、太陽光発電パネルの製造が各国で盛んに行われていますが、それが地球環境に悪影響を与えている可能性があるのです。
太陽光発電パネルの製造には水酸化ナトリウムやフッ化水素酸といった腐食剤が必要になります。そして製造にあたっては水や電力が必要です。
太陽光発電システムがクリーンなエネルギーを作り出すよりも、太陽光発電システムの製造過程で生まれた二酸化炭素や廃棄物が地球に悪影響を与えている方が大きいかもしれないのです。
実際、中国製の太陽光発電パネルの製造過程で排出される二酸化炭素は、ヨーロッパ製の太陽光発電パネルに2倍近くになり、中国企業のジンコソーラーは太陽光発電パネルの製造過程で生じた有毒廃棄物を付近の河川に流して住民から反対運動を起こされています。こうした事実は環境団体などにとっては不都合な事実なので、ほとんど報道されることがありません。
このような状態に対して世界が手のこまねいているわけではなく、ヨーロッパでは有害電子廃棄物の排出削減と廃棄物の廃棄方法の規制が設けられ、アメリカのメーカーでも連邦と州の規制を受けるようになっています。
サンフランシスコ拠点の非営利組織であるソーラー・スコアカードでは、太陽光発電パネルのメーカーの格付けを行うと共に、太陽光発電パネルの製造過程で生じた二酸化炭素と化学物質、水の使用量、パネルのリサイクル率について自己申告によるデータ収集を行い、企業間のデータ共有を図るといった活動を行っています。
太陽光発電システムでクリーンなエネルギーを生み出しても、製造過程でそれ以上の二酸化炭素を生み出したり、有害廃棄物を適切に処理していなければ、地球への悪影響は増加するばかりになってしまいます。
太陽光発電システムのメーカーには、効率よく大きな電力を作り出す太陽光発電システムを求めるだけでなく、その製造過程もクリーンなものにすることを求められているのです。
再生可能エネルギーは決して万能ではありません。太陽光発電にもメリットだけでなくデメリットもあるのです。しかも環境負荷をさらに高めてしまうという事実にも、目を向ける必要があるのです。