平成29年(2017年)の住宅ローン金利動向(後編)
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2回に渡ってお送りしている、平成29年(2017年)の住宅ローン金利動向。前回の変動金利に引き続き、今回は長期固定金利の動向についてお送りします。
まず簡単な仕組みからです。長期固定金利は各銀行が債券市場という、国債を売買する市場金利を目安に金利設定します。
しかし、債券市場も市場ですから、有利に金利設定出来るときもあれば、そうでないときもあります。その代表的な指標となるのが、一番市場規模の大きい10年物の国債の値段です。そして、この値段の利回りを長期金利と呼ぶのが一般的です。
国債も債券ですが、債券というのは基本的に利回りが決まっているので、国債の値段が上昇すれば相対的に利回りは低下、下落すれば利回りは上昇ということになります。
そして、日本や世界の景気が良くなれば、国債よりも儲かる株式市場にお金が流れますので、国債の値段が下がり金利は上昇。景気が悪くなれば、国債の値段が上がり金利は低下します。
さらに、これ以外に国債の値段が変動する要因として、日本という国の信頼がなくなった場合、国債を持っていては危険ですから、国債が売られ金利が上昇します。(財政再建懸念など)
また、現在は日銀が長期金利の上昇を押さえ込むために、政府が発行した国債を日銀が買い入れる、買い入れオペを強化しています。
この結果、株価と長期金利との連動性が薄れ、長期金利の動向は日銀頼みが強まっている点には、注意する必要があります。
以上を踏まえて、平成29年(2017年)の長期固定金利の動向を占っていくと、もっとも注意しなければならないのは、アメリカ大統領に当選し、来年1月20日に就任するトランプ氏の政策です。
まず確実に言えることは、トランプ氏が強い米を目指して、積極的な財政出動を行うことやFOMC(米連邦公開市場委員会)が利上げを行うことから、米の長期金利上昇につられる形で、世界的に金利上昇機運が高まることです。日本でも日米金利差が拡大し円安が進行、これを好感した株高で長期金利は上昇しやすくなります。
一方で、日銀の狙いは緩やかな金利上昇であり、長期金利が誘導目標を大きく上回る水準まで上昇した場合は、買い入れオペの回数を増やすなどして、金利上昇を抑えこむものと考えられます。
この流れだけ考えると、世界的に金利上昇となるのですが、過激な言動で知られ政策手腕も未知数のトランプ氏に対する不安感は根強く、政治情勢が景気の足を引っ張り、上記とは逆の展開になることも想定されます。
従って、平成29年(2017年)の長期金利はかなり荒っぽい値動きが考えられることから、それに連動する長期固定金利も例年以上にぶれ幅が大きくなる可能性があります。
ただし、現在の長期固定金利は歴史的に過去最低水準にあることから、上昇したとしても長期固定金利を利用する価値は十分にあります。
以上、2回に渡ってお送りしましたが、平成29年(2017年)も無理のない資金計画の範囲内で、この低金利を活用して頂けたらと思います。
沼田 順(1級FP技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー)
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