大澤 眞知子(カナダ留学専門家・英語教育者)- Q&A回答「[文化心理学]からホームシックを分析すると」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
カナダ留学・ボランティアにいらっしゃい!

大澤 眞知子

オオサワ マチコ
( カナダ留学専門家・英語教育者 )
Super World Club 代表
サービス:4件
Q&A:108件
コラム:378件
写真:0件
お気軽にお問い合わせください
※ご質問・相談はもちろん、見積もりや具体的な仕事依頼まで、お気軽にお問い合わせください。
印刷画面へ
専門家への個別相談、仕事の依頼、見積の請求などは、こちらからお気軽にお問い合わせください。
問い合わせ
専門家への取材依頼、執筆や講演の依頼などは、こちらからお問い合わせください。
取材の依頼

イギリスでホームシックになり、つらいです。

人生・ライフスタイル 海外留学・外国文化 2015/09/17 06:35

イギリスでの留学はもう2年目の大学生です。1年目の留学の後、3ケ月ほど休みがありずっと日本に帰国していましたが、5日ほど前にまたイギリスに戻ってきたところホームシックになってしまいつらいです。

冷静に考えることができなくなり、「わざわざ両親に高い金額を出してもらってまで、(私が専攻している科目)をイギリスで学ぶべきなのか」などと考え悲しくなっています。2年目の留学で慣れたはずなのに、毎日ふとした時に辛くなり泣いてしまいます。日本の恵まれた環境も、母の存在も、生活も恋しく、今は日本のテレビばかりネットで見て過ごしています。もう経験したことなのに、どうしてまた今年もホームシックになったのでしょうか?毎回こうならないために何かいい方法はないですか?

Aoicchiさん ( 東京都 / 女性 / 19歳 )

[文化心理学]からホームシックを分析すると

2015/09/17 16:21

Cultural Psychology (文化心理学)の見地から、現在のホームシックの心理状況を分析してみましょう。

生まれ育ち、慣れしたんだ言語、文化から離れて、異国で生活をする場合(勉強・仕事・移民すべてが当てはまります)、誰でもが経験するプロセスをAcculturation と呼びます。

Acculturationとは:
the process which people migrate to and learn a culture that is different from their original culture
異国に行き生活する人が、自分自身の文化とは異なる文化を学んで行く過程です。

相談者の場合、このAcculturation 過程を見直してみることが、今ん状態を理解するのに役に立つと思います。

Acculturation の過程はすべての人に同じとは限りませんが、一般的に添付のグラフのような過程をたどります。

異文化に到着した最初は、見るものすべて新しく、ワクワクする時期があります。
新婚カップルに例えて "Honeymoon Stage" と呼ばれます。
外国旅行や短期のホームステイが楽しいのは、このためです。
Honeymoon の記憶が残るわけですから。

ところが、新婚カップルとも同様に、最初のワクワク感も次第に薄くなって行きます。
異文化の何を見ても、自国と比べ、自分の国の良いところだけをしきりに思い出すようになります。
家族が恋しくなったり、食べ物が恋しくなったりするのもこの時期です。
自国の天候までが素晴らしく思えてきます。
異文化を否定的に捉え始めてしまいます。
質問にもあったテレビ番組なども、自国のものばかり見はじめます。

言葉が十分使えないことに劣等感を持ち始めます。
自分の国だったら、お店の人とも会話出来るし、こんな話も友達と出来るのに。。。。
と、どんどんホームシックが強くなって行きます。

そして『ここに一体何をしに来たんだろう。。。」と考え始めてしまいます。
"Crisis of Culture Shock" と呼ばれます。

普通は6ヶ月から18ヶ月でこのCrisis は終わり、異文化で奮闘する人たちも、気分が上向き新しいことを楽しみ始めます。

その理由は?

言語能力が上がるからです。
コミュニケーションがスムーズに行き始め、日常で言葉を交わす人も増えてきます。
学生の場合は、授業の理解が簡単になったり、先生に質問することに躊躇がなくなったりします。
宿題のやり方も少しづつうまくなっていきます。
自信がついていきます。

言葉が上達するので、テレビ番組も面白いと思い始めます。
言葉を武器に、周りの環境に適合していけるようになるわけです。

この時期を "Adjustment" と呼びます。

Acculturation Curve と呼ばれる添付のグラフは、"U" の底が一番辛いとき。
そこから "Adjustment" に入ると、どんどん右肩上がりで異文化を楽しめるようになります。


ご相談者の場合、タイミングから推察すると、ちょうど"U"字の一番の底の時期に日本に一時帰国なさったかな?

そのため、ピックアップし上がっていくはずのAcculturation Curve に乗り遅れたかもしれませんね。
異文化を否定的に捉える最悪の時期に、実際に慣れ親しんだ心地よい自国に戻ったことで、否定的な見方をふっきれなくなった様子が感じられます。

また、言語にしても、留学し英語で勉強するということは想像を絶するほどの努力が必要ですよね。
1年経過し、少し様子がつかめて来たところで3ヶ月の「英語ブランク」では、また最初に近い言語レベルに戻ってしまった可能性も否定できません。

生まれた時から使っていたわけでもない英語は、少しのブランクでもあっという間に脳から消えて行きますから。

そんな理由で、おそらく今現在は気分は最悪のCrisis なんだろうと想像出来ます。

今のところは、踏ん張って勉強を続け、言語能力を上げ、早く "U" 字の右上がりのところまで行けるよう、そこの文化に飛び込んでみてください。
白人文化だけでなく、移民も多いイギリスです。

移民の方の経営するレストランに行って世間話をしてみるとか、来た時の苦労を聞いてみるとか、同じようなAcculturation の過程を経験した人たちと話をするのも、非常に役に立つはずですよ。

私もカナダでAcculturation を学問的に学んだと同時に、自分でも実際に体験しました。
例えば、アルバータ州の小さな町でなんとなくそこの文化に否定的になりかかった時、ほとんどが白人の田舎町のコンビニ店員のベトナムからの移民の方に出会いました。

なんてことない世間話をしているうちに、気持ちがふっと柔らかくなったのを覚えています。
遠く故郷を離れて、こんな小さな町で働いている人が楽しんでいるカナダ。
自分にも勇気が湧いて来た瞬間でした。

いい経験してる真っ最中だと思いますよ。


Good Luck!

プロフィール対応業務経歴・実績連絡先・アクセスサービスQ&Aコラム