大澤 眞知子
オオサワ マチコグループ
カナダ高校留学 - キリスト教色の強い地区に要注意
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カナダ高校留学を希望する親からのご質問で、ひとつ非常に気になるものがあります。
それも結構な数をいただきます。
カナダのキリスト教系のIndependent School, いわゆる私立高校への留学についてです。
もちろん、もともとキリスト教を信仰し、同じ教えにもとづく教育をカナダでという場合は、全く自由な個人選択です。
しかし、キリスト教信者でもなく、例えばカナダに多いカトリック信者でもない日本の親が、子供をそのような高校に送りこむことには、ある種の危険性が伴うことを報告しておきたいと思います。
カナダのキリスト教系の学校は、正にキリスト教の教えを中心に機能しています。
そこに通う子供も、その学校を選ぶ親たちもその教えに対する真剣な信者であることを、まず認識して下さい。
先日起こった痛ましい川崎の無差別殺傷事件に巻き込まれた生徒たちは、カトリック系の学校に通っていたとか。
キリスト教の名前がついた私立学校が日本にはかなり多く、公立との差別感を求めて子供を通わせる方もいらっしゃると観察しています。
日本で私が直接指導していた時にも、進学校としての評判も高い私立学校でしかもキリスト教の学校に通っていた生徒が結構おりました。
その子達や家族がキリスト教を信仰していたわけでも何でもなく、ただ単に大学進学率と公立中学との差別感をその学校に求めただけのようでした。
「学校でミサもあるんですよ。 たいくつ~~。」と、生徒たちは宗教は単なる飾りのような捉え方をしていましたね。
結婚式でも、キリスト教の教会を模したセッティングが人気の日本のようです。
宗教は単なる名前であり、儀式を行うための飾りのような考え方も日本の方には多いと思います。
宗教の違いで殺し合いをしている世知辛い世界の中では異色の存在で、日本の自由な宗教観はもっと存在感を持ってもいいのではとも思っています。
しかし。
日本の子供を、しかもキリスト教でもない未成年を、カナダのキリスト教一色の高校に留学させることは別問題です。
カナダの信者は、100%信者です、「マジ」です。
日常のすべての考え方が宗教に基づいています。
宗派も様々あり、それぞれの戒律に忠実に従う教育を行っている高校に、親も子も予備知識も何もないまま留学を決める。
何とも不思議な現象です。
人口3000人ほどのカナダの小さな町でも、なんと8つも宗派の違う教会があるんですよ。
3000人がその8つの異なる宗派に属し、グループを構成しています。
スーパーが一件しかない町に、8つの教会です。
異様です。
カナダのキリスト教系の高校はカリキュラムも独自の宗教価値観に基づいており、必ずしも世界を先入観なしのクリティカルシンキング思考法で学ぶ教育ではない場合が多いです。
例えば、「人間が猿から進化した」などとんでもない!と進化論を否定した教育も見られます。
同級生もその親も、ホストファミリーも皆同じ宗教観を共有する人たちです。
キリスト教信者になる!くらいの意気込みがないと、わけのわからない留学生活になるケースが多いのも事実です。
ご相談を受けるたびに「そもそも、なぜカトリックの学校に送りましたか」などと質問します。
親は事情をよく知らないままエージェントの勧めで決めた場合がほとんどなのも「~~~~」です。
エージェントもキリスト教系(カトリックやメノナイトなど)の学校の内情は伏せたままバラ色のことだけを語ります。
留学生にとっては、公立でも私立でも同じくらいの高い授業料を払いますので、「カトリック系なら公立と差別化されてエリート教育かも」と、いとも簡単にエージェントの勧めに乗ってしまうのかも知れません。
差別化されるどころか、こんな教師もいるのがキリスト教系の高校です。
BC州アボッツフォードにあるMennonite Educational Institute(オランダ・ドイツ・スイスなどから宗教的迫害を逃れてカナダに来た宗派で、独特な価値観を有する)の教師が授業中にポルノを見たり、生徒への性的衝動を隠せなかったという理由で解雇されています。
ご相談を受けたキリスト系高校(カトリックが圧倒的に多いですが)はここでは好評を差し控えますが、気になる方は個別にお問い合わせ下さい。
最後に、BC州への留学を計画中で前述のアボッツフォードを勧められた方に。
2016年まで、個人の意志に関係なく生徒全員に聖書を配布していた地区です。
Langley からAbbotsfordなどがあるFraser Valley、Bible Beltと呼ばれるこの一帯は学校のカリキュラムにもキリスト教が大きく影響を受けています。
公立・私立を問わず状況はほぼ同じだと思いますが、宗教系の高校も多い地域です。
キリスト教信者でない方には要注意の地区ですね。
大切な子どもを留学させる前には、その地域の十分すぎるくらいの下調べが必要です。
くれぐれもエージェントの言葉を信用することのないよう、注意なさって下さい。
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