大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「日本人が陥る「英語エッセイ」への大きな勘違い - A君の場合」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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日本人が陥る「英語エッセイ」への大きな勘違い - A君の場合

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英語学習方法 英語でエッセイを書く 2018-10-18 03:45

日本の生徒に「英語エッセイ」を指導して30年近く経ちました。

カナダ人Robert McMillan が専門の数学論理をわかりやすく英語エッセイ構造、思考法に当てはめ、日本の生徒たちの抽象的・曖昧な脳を、具体的で明確な英語の書き方へとリードして来ました。

 

その生徒たちは、Robertに教わった並外れた高いライティング能力を武器に、日本、カナダ、アメリカの有名大学へと進学、世界を股にかけた活躍をしています。

しかし、みんながみんな最初からスムーズにエッセイの書き方を理解していったかというと、否々、英語の思考法を理解する時点で大きな勘違いを起こし、当分足踏み状態を繰り返した生徒もたくさんいます。

それでも踏ん張った生徒たちは、長い生徒で2〜3年、早い生徒で数ヶ月後には「あ!英語で書くとはこういうことかぁ〜〜〜!」と転換期を迎え、高く舞い上がって行きましたね、

残念ながら自分の思い込み勘違いを見直すことが出来ず、「自分はもっと出来るはずなのに。。。」と脱落していった生徒がいたことも事実です。

 

敢えて付け加えるならば、実は、生徒本人ではなく親の方が「うちの子の能力はもっと高いはず。書いているエッセイも評価が低すぎる!」と手前味噌な判断でせっかくの潜在能力を潰していった例も結構あるのが残念なところです。

 

そんな歴史を「英語エッセイ」のCase Studyとしてシリーズでご紹介しています。

 

Case Study 1 : A君の場合 「ママ!聞いて聞いて!」の大間違い

 

大きな青い空が広がるアメリカ中西部で育ったA君。 物心ついた時には周りから英語がどんどん耳に飛び込んで来ました。 A君の脳は、広大な大地に水が滲み込むように、英語を吸収して行きました。

 

忙しいお父さんから子育てを任された形のお母さんは大張り切り。 日本語も忘れさせないようと幼児用教材を日本から送ってもらい大奮闘。 家庭内では、日本語と、お母さんが頑張って話す「少々怪しい英語」が飛び交う環境でした。 「ママを喜ばせること」に満足感を見出す幼児期の特徴でもありますが、A君は、お母さんに毎日「ママ、あのね。」と英語で話をするのが日課にもなったそうです。 お母さんは”Tickled pink!” 「うちの子すごい!」とうっとりするのがこの親子の日常だったのかなと、エッセイを最初に読んだ時に感じました。 まさか、それが実話だったとは後からお聞きしたことですけどね。

 

A君が高校生になり書いたエッセイは、客観的観察が必須だというルールを無視し、自分の感情的な主観、それも幼児のような感情満載で構成されていたのです。

 

帰国後は、特に英語教育に力を入れる小学校に入学。 英語の環境はなくなりましたが、「ママ、あのね!」は続いていたのかなと思います。 普通のお子さんが学校から帰り「今日ね、学校でね。」と話をしてくれるのと同じです。 A君の場合は、それが英語であっただけのことですが、英語で「ママあのね」の目的が、大好きなママへのサービスだったのも知れません。

 

日本の中学の英語教育に不満たらたらのお母さんは、A君を留学させることにしました。 「こんな学校にうちの子をおいといたら類稀な英語力が落ちてしまう!」と。 「類稀」だったかどうかは、お母さん独自の判断であり、「あなたの英語はこんな学校にいては勿体ない。」と言われて育ったA君には、少々問題のある成長過程だったと思います。

 

「自分は特別」「あなたは特別」と言われ、「自分はエリート階級」だとの自尊心を持った子供は、何でも周りのせいにし、自分の行動・能力への分析能力に大きく欠けることは発達心理学上でも証明されています。 先日のアメリカ最高裁判事カバナー候補が、その見事な事例だとDevelopmental Psychologistsたちが書いていましたね。 「自分は何をやっても素晴らしい。悪いのは周りだ!」との心理に陥ってしまうわけです。

 

カナダの国民的スポーツ、アイスホッケーに興味を持ったA君を「この機会を逃しては大変!」とカナダに留学させたお母さん。 カナダの高校卒業を目指す留学生活の開始です。 自身満々のお母さんと、学校の授業にとまどうA君。 もっと出来ると思っていた英語が、実はカナダでは、まだまだ同年齢の生徒からは大きく劣っていると認識する時期に入りました。

 

そんな時です。 「英語エッセイ」コースにA君が参加したのが。 快活で、スポーツ好きで、本当にアイスホッケーにはまって、いい子でしたよ。 少し幼いな〜と感じましたが、今後の成長が楽しみな少年だと思いました。

 

ところが。

最初のレベルのエッセイを見て、大仰天。 カナダでは小学生低学年が書いて、先生が、赤ペンで色々アドバイスする絶好の実例のようなエッセイを書きました。

 

Why I want to go to Canada. というテーマで、理由を3つ、その理由を論理的に説明する実例を各理由に3つづ入れて書く短いエッセイが最初の課題です。

カナダに行きたいのであれば、カナダを客観的に描写し、読み手にわかりやすく具体的に書いていくよう指導します。 「だってカナダが好きだから。」は通用しないわけです。

 

A君の書いたエッセイには、「自分がいかにアイスホッケーが好きで(理由記載なし)、選手に憧れていて(理由記載なし)、選手に会えたら夢心地になるということを繰り返し繰り返し書いていました。

 

「ママあのね。」エッセイの典型ですね。 “like” “love” “excited” などの単語を単に羅列しても、読み手には伝わりません。 なぜ”like”なのか、どこがどのように “excited”なのかを、具体的、客観的に書き、すべての理由と実例に論理的一貫性をもたせるのが英語のエッセイです。長々と書く必要もありません。

 

Robertがどう説明しても、「ママあのね」癖が尾を引いて、ひとつのエッセイを書き上げるのに相当の時間を要しました。 言いたいことがいっぱいあるA君ですから、その発信方法を成長させ、英語思考法を理解してもらうと、「英語エッセイ」の能力は飛躍的に伸びるはずとの潜在能力を期待しながら指導していましたが。。

 

「うちの子の能力をわかってない。」現象が起こったのでしょうか、A君は姿を消して行きました。

未だに「ママあのね」エッセイを書いて、なぜ高評価がもらえないのか困っているのでは?と心配しています。

どこかで乗り越えることが出来る壁であればいいなと祈りつつ、日本の意識だけで決めつける「英語エッセイ」の怖さを改めて感じたケースでした。

 

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自分も「ママあのね」エッセイに似てるかも!と心配になった方はいらっしゃいますか?

いつでもご相談下さい。

絶対飛び越えないと行けない大きな壁ですからね、お手伝いしますよ。


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