大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「ホストファミリーとうまくいきません」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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大澤 眞知子

オオサワ マチコ
( カナダ留学・クリティカルシンキング専門家 )
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ホストファミリーとうまくいきません

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留学 大学・高校正規留学 2018-04-21 22:04

「ホームステイ」には大きな問題が潜んでいることは、余り日本まで届いていない現実ですね。

トラブルのない方が不思議なホストファミリーとの生活。

英語が不自由な日本人高校生には、かなりの心理的ストレスです。


【質問】

 

カナダに留学中で、ホストファミリーを変えようか迷っています。

先月から暖かくなり始め、アリが私の部屋に出始めました(1階です)お菓子とかが捨ててあるゴミではなく、ベッドの横の壁から出ているので、食べ物を落としたとかそういうのじゃないと思います。

友達やエージェントの方もも最近1階の部屋とかお風呂場にアリが出始めたと言っていました。だから一般的なことだと思うのですが、その事でホストファミリーにとても怒られました。

私が悪いのは分かっています。(私の部屋だし、何か食べ物を落とした可能性もあるから)そして、エージェントの方にアリが出たけど彼女はとても申し訳なく思っていると説明してもらい、(私ももう5回くらい謝りました。)許してもらいました。

ですが、その事をまた言われたので、(あなたのせいで家にアリがでた、私達は10年以上ここに住んでいるがアリは出たことがないなど)それで、私が「全部私が悪いです、本当に悪いと思っています。これからは気をつけます。」と言ったら、「いいのよ」と笑って言われたので、根に持ってるのかジョークなのかわかりません。

このファミリーとはあと2年近くいないといけないので、これを機に変えようか、それとも少し気まずいですが一緒にいようかどうしようか迷っています。

 

【回答】

ホームステイで起こるトラブルは、ホスト側と学生側の言い分を聞いていると、「本当にこの人たちは同じ家に住んでいるのかな?」と思えるほどの乖離があります。

特に、文化も言語も全く異なり、英語の出来ない日本人学生と、それほど乗り気でないけど毎月のホームステイ費目当てにホストをしているカナダ人(他の国でも同じか、もっと悪いかも知れません)との状況認識の違いは、唖然とし言葉にもならない場合が多かったです。


カナダ在住、30年近く日本からの優秀な学生の支援を行っている立場からのアドバイスです。


あなたの言い分から判断すると:


1.周りの家でもアリが出たということは、気候状況、その地域の生態系によるものである可能性が大ですね。

そこに10年も住んでいるホストが、そのことを知らないわけはないと思います。

にも関わらず、あなたのせいにするのは、非論理的です。

英語が満足に出来ず、恐らく文句も言えないだろう留学生のあなたを馬鹿にしているのかも知れません。


2.カナダの人たちは余り謝るということをしません。”Sorry.”を言った瞬間、自分の立場が不利になると思っています。 そこにあなたの重ねての謝罪を聞いて、多少は良心の呵責があったようですね。

「いいのよ」(ホストの使った英語がわかるともっと本心が読めると思いますが)を引き出したということは。


3.「これからは気をつけます」の謝罪が受け入れられたということですが、もともとアリが出たのはあなたの制御出来る問題ではないですよね。

そうするとまた出ますよ。 もっと暖かくなってきますから。

「これからは気をつけると言ったのに!」とホストが不合理にキレて来ることも、十分考えられます。

今度は「アリを出した留学生」というだけでなく「嘘つき留学生」としての怒りが向かって来そうな予感です。


結論:
このホストの不合理・非論理性をあと2年も我慢するとあなたの尊厳が損なわれそうです。 そのホストは、おそらく人間的にも「良きカナダの人」ではなさそうですので、折角のカナダの体験が大きく損なわれる可能性が大ですね。


But, カナダの留学事情は複雑です。

「良いカナダ人」がホストになることは稀な時代です。 ホスト不足が深刻な状況では、次のホストが更に低級になる可能性も含めて考えて下さい。

全面的に味方になってくれる親の存在なしの「留学」とはそういうものです、残念ながら。

エージェントもホストの機嫌を損ねないよう必死ですので(数不足から)、全面的にあなたを守ってはくれないです。


ホストの言い分を想像してみましょう:


1.あなたの部屋はきれいに片付いていますか? ベッドメーキングも必ず出来ていますか?

もし、そこに問題があれば、普段からホストはあなたの部屋に文句があったのかも知れませんよ。

遠回しに「アリ事件」で「部屋を片付けなさい」と言っている可能性は否定出来ません。

(面倒みた学生の半数は、部屋が汚かったです。 女の子も同じ。 ホストからしたら、大迷惑な留学生です。)


2.アリの件以外でも、ホストとうまくいかないことがあるのではないですか?

普段関係良好なホストであれば、「あなたのせいよ!」とまでは発言しないと思います。

何か思い当たることはありますか?


3.あなた自身は「あ〜この留学生を受け入れてよかった!」と思ってもらえる存在ですか?

家族の行動を見て、その家のルールを自分で理解する。

お手伝いを率先して行う。

いい表情でホストと接する。

質問されたら、頑張っていっぱい答える。

そんな存在ですか?



結論:
もし、この中で思い当たることがあるのなら、どのホストに移っても同じ事態が起こりますよ。
更に「自分勝手な言い分で出ていった留学生」という噂も立てられてしまいます。
噂などどうでもいい、とにかく出たい!と思うのなら、強行してみるのも経験です。
あ〜あのアドバイス正しかったなと、感じてもらえると思います。



1994年からつい2年程前まで、多くのホームステイの問題に遭遇、対処してきました。

例え、ホストの言い分に理がある時でも、留学生側の心理的負担を考え、完全に留学生側に立って戦ったことも数多くあります。

ホストは怒りますが、私の怒りの方が大きいと思わせるのがテクニックでした。

親元を離れ、外国語で頑張る子供を何と思っている!とね。

 

さぁ、冷静に今までの自分とホストを分析し、良い決断をして下さい。


Good luck!



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