大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「カナダの「高校留学制度」は穴だらけーカナダのメデイアCBCがようやく現実を報道」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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カナダの「高校留学制度」は穴だらけーカナダのメデイアCBCがようやく現実を報道

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留学 大学・高校正規留学 2018-02-23 03:46

“The system is full of holes”: Experts say young foreign students left vulnerable by unregulated industry
[高校留学制度は穴だらけ:未成年の高校留学生は規制の存在しない「留学産業」の中、無防備で弱いまま放っておかれているのが現状] (CBC レポート


長年声を大にし、日本の親たちに発信し続けている「高校留学の悲惨な現実」が、ようやくカナダ側のメデイアにより取り上げられました。

「ほら!」と、大きな味方を得た思いです。


留学エージェントの語るバラ色の大嘘、カナダのスクールボード担当者が「嘘の塊、カナダ留学フェア」で語る「セールストーク」

その先に待っているのが、ここで報道されている現実です。


CBCの記事からの抜粋


「何十万人という高校留学生が世界中からカナダにやって来る。 15歳や16歳。 またそれよりも幼い生徒まで。 その留学生たちは、新しい未知の国で、スクールボードからも、州政府からも、連邦政府からも、留学産業からも、適切なサポートを受けることなく、危険にさらされている。 留学産業には厳しい規制が必要である。」


「移民サービスセンターの長であるWong-Tam言:規制の存在しない「高校留学」産業内では留学生達は詐欺の犠牲になり、本来は生徒たちの健康と安全を守ることに責任のあるはずの機関・人間の手の中で不当な扱いを受けている。」


「高校留学」が規制のない産業の中で、金の成る木として独り歩き


1.カナダには後見人制度があり、未成年が留学するには後見人を指定する必要があります。


この後見人制度が、エージェントには実にボロい儲けとなっています。

後見人には、ホストファミリー、スクールボード内の誰か、後見人斡旋サービス、留学エージェントのどれかがなるのが普通です。

そのために親は年間$1000~2500の費用を支払います。

この金額は、どんなサービスを業者が提供するかによって異なりますが、ただ単に名前を貸すだけの後見人がほとんどです。


ある留学生はなんと、年間$13000も後見人に支払いました。

親元を離れる子供を心配した親が、特別なサービスを要求したからです。

ところが、その後見人は、緊急の場合でも電話に出ず、急病の場合でもやっと翌日になってから連絡が取れる始末。

おまけに、病院までの送り迎え費用として$300を要求したそうです。


何もせずに$13000、プラス送り迎えだけでプラス$300!

ボロ儲け過ぎて、止められないはずですね。


そんなカナダの内情とつるんで日本の親を騙し続けるエージェントも、相当ぼろい儲けが手に入るのが「高校留学」の実態です。


2.ホームステイも、留学産業の目玉です。


留学生はだいたい毎月$900~1300程度をホストファミリーに支払います。

3度の食事と、寝る場所の提供と引き換えに。


ところが、ところが、こんな事が後を絶ちません。

「16歳の留学生。カナダに来てまもなくホストとの間がギクシャク。ホストの家が学校から遠いこともあり、近い場所への移動を考えていることをホストに話しました。その夜から「夕食が出来たよ」との声かけがなくなりました。お腹を空かせて寝る日が続きました。ホストの家ではひとりぼっちで部屋に閉じこもり、寂しさのあまり泣くことも続きました。」


特に日本からの留学生は、幼さもあり、文句を言うスキルがありません。

何をされても泣き寝入り。

自分が何か悪いことをしたに違いないとの、自己破壊が始まります。


ちなみに、ホストは毎月受け取るホームステイ費は確定申告の必要がありません。

ボランティアとしての報酬とみなされるからです。

ですから、お金の必要なカナダ人、生活の安定していない移民家族には、実にボロい儲けとなります。


3.スクールボードやエージェントは勝手に自分たちの規則を作ります。


国や州の規制が存在しない「高校留学産業界」では、当事者が勝手に何でもルールを作れます。

後見人にしても、特に何の責任も明記しないまま、お金だけが飛び交います。

ホストファミリーにも、一応のガイドラインはありますが、それが適用になりホスト資格を剥奪されるなどは、まず起こりません。


お金に余裕があり、外国そのものに興味を持つカナダの家族はホストなどに興味はありません。

幼いまま親元を離れた未成年の面倒など、真っ平ご免ですから。


従って、ホストの質は異常な低下を続け、ホームステイ代だけをがっぽり儲け、面倒もみない、ろくなものも食べさせないホストが多いのが現状です。

現在、カナダのホストファミリーの大多数は移民家庭です。

英語を話さないホストも多いです。


4.カナダの国は「高校留学生」の権利は保障してくれません。


数々の訴えが移民局に持ち込まれますが、相手にされません。

「留学生」の権利を守るのは、カナダの国の責任ではありませんから。


20年近く前のことです。

バンクーバー郊外のラングレー市スクールボードの「留学生プログラム」の実情をBC州政府に訴えました。

自分勝手なルールと、留学生は授業料さえ払っていればいい、それ以上は何もするなという態度に呆れ果てたからです。

留学の真実を外にバラすなと、脅しも来ました。

「口をつぐんで、私達と一緒に儲けていればいい。」との脅しです。

留学の膿がどろどろ渦巻いている地域でした。

オンブズマンも参入してくれ、かなり州政府に突っ込みましたが、結果は厳しいものでした。


州政府も真剣に取り上げてくれましたが、こんな返事が来ました。

「カナダ政府には留学生の権利を守る責任はありません。ホームステイも、スクールボードとの契約も、国が関与することではありません。留学生のカナダでの地位は、単なる短期滞在の外国人です。」



高校生の留学サポートから全面的に撤退したのはこれが引き金です。

それ以降は、カナダ現地から真実を発信しながら、トラブルのSOSに対応したり、自己動機のある日本人留学生に特別なアカデミックサポートを提供したり、何とか日本の未成年がカナダで無事に過ごせるよう支援をしています。


しかし、それよりも声を大にしたいのは「高校生留学はしないこと!」

これが、あなたを、あなたの子供を待っている現実です。


カナダのメデイアが今後どう動くか、注目して行きたいと思います。



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