大澤 眞知子
オオサワ マチコグループ
英語脳を育てる方法
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「英語脳」とは脳に日本語言語とは異なる「英語領域」を作ることですね。
コンピューターにソフトウェアをダウンロードするように簡単に出来ればいいのですが、事はそう簡単ではありません。
よく宣伝している「聞き流し学習」が科学的に見て役に立たない理由を回答してみました。
(質問)
英語のリスニングとスピーキングを強化したいのですが、
英語を聞き続けるだけでも英語脳は育ちますか?
(回答)
38年間日本でクリティカル・シンキング思考法を指導し、現在カナダ在住です。
その経験と、日本の大学の言語学、カナダ・アメリカの脳科学、言語心理学の見地からの回答をさせていただきます。
ただ英語を聞き流していても脳に変化は起こりません。
日本人の脳は生後6ヶ月を過ぎたあたりから、日本語の音、日本語の文法、日本語の語彙に合わせ成長して行きます。
(人間の脳は生後6ヶ月程度までは、あらゆる言語に対応出来る能力を持っているのですが、残念ですね。)
英語が出来るようになりたい日本人にとり、大きなマイナス点なのが、日本語と英語とは非常に異なる言語ということです。
発音する際の発声器官の使い方、母音の押し出し方、文法の構成、思考法(これももちろん脳で処理されます)など、英語とは180度異なる言語が日本語です。
日本人が世界に知られる「英語下手」なのは、必死で練習したり、暗記したりする内容が、脳の日本語の領域でしか処理されないのが大きな原因だと考えられます。
例えば、日本人の”R” “L” の発音の酷さは、カナダ・アメリカの言語心理学者が興味を持つリサーチ対象になっているほどです。
それらリサーチでも証明されていますが、日本語には”R””L”の音がが存在しないにも関わらず、日本人は一生懸命自分の知っている”ら行”の音に当てはめて発音してしまう傾向が強いです。
また、長年英語の勉強をしたはずの日本人の大人でも、単数・複数が正しく使えない、主語と動詞を一貫して使えない、動詞の時制が正しく使えない、しゃべる英語の時制が全部現在形などの間違いをしてしまいます。
英語にはそれらの文法には非常に厳しいルールがあるのですが、日本語は違います。
単数・複数の区別はまずありません。
主語はほぼ省略されます。
時制も、境界が非常に曖昧で、例えば現在形で言い切り、未来も表すことが出来ます。
例:「明日は早く起きます。」
そのような日本人特有の間違いは、英語の文法ルールを無理やり日本語の脳の領域で理解することに問題が起因していると考えられています。
では、どうすれば、コンピューターに英語のソフトを入れるように、脳に英語の領域を作ることが出来るか。
これは現在未だに多くの学者が研究している分野ですが、仮説の多くは下記のことに基いています。
1.舌、顎、のど、鼻、口腔内部などの発声器官を正しく使い、英語の発音練習をする。
(英語のNative speakerと同じ使い方、力の入れ方をマスターしないと何年練習しても同じですから気をつけてください。)
ただ、聞いた英語を真似ようとしてもその音は脳の日本語領域でしかプロセスされませんので、似非発音のままで終わりますし、脳には何の変化も起こりません。
構造学的に、舌の位置、のどの閉め方、口腔内部の形などを学び、音を出す練習をひたすら繰り返します。
日本の子供が早期英語教育とやらで英語に出会うのは、まずこの練習であるべきですね。
(単語のカードを何枚見て、外国人講師とゲームをやっても全く役に立たないのはこのためです。)
発声器官さえ正しく使えば、出て来る音は限りなく本物の英語に近いものになります。
この正しい使い方をマスターするのは、筋トレと同じ。
何度も何度も練習し、脳がその使い方をマスターするまで続けます。
2.その限りなく英語に近い音を聞いた脳はその音と、発声器官の動かし方を記憶して行きます。
正しく発音出来た時に褒められると、嬉しくなるのは本人だけでなく、実は脳にもそのfeedbackが届きます。
そして、その繰り返しにより、脳にやっと英語の音の領域が出来ていきます。
ただし、何年にも渡る反復練習が必須です。
折角出来つつ在る脳の英語領域を維持するためには、繰り返しの正しい練習と、feedbackが欠かせません。
そうでないと、ニューロン同士をつないでいるネットワークが確立されないどころが、あっという間に消えてしまいます。
3.発音の次に英語領域を強化するには、前述の、主語・動詞の一貫性、単数・複数の正確さの練習です。
方法は多岐に渡りますので、ここでは詳細は割愛させていただきますが、スタートは下記の練習から始めることをお勧め致します。
自分のレベルに合った英語のストーリーをたくさん読む習慣をつけ、楽しみながら単数・複数、主語+動詞の一貫性、時制などに接する。
20冊程度読むと、脳の文法への反応が変わります。
例えば算数の文章題を英語で数多く読み、質問に文法的に100%正確に答える反復練習をする。
毎日の反復練習が必要です。
簡単な文法ですが、それを脳が自然に理解し、「こう答えなさい」という司令を即時に出せるような練習です。
10歳程度からの日本の多くの子供たちに上記の特訓を行って来ました。
何年も反復練習を繰り返した生徒たちは、高校生年齢になると急激に英語の理解度が上がりました。
クリティカル・シンキング思考法も、日本人には考えられないほどの習熟度を示しましたね。
そんな生徒たちをカナダの大学にずいぶん送り出し、Degreeの取得を助け、現在はカナダ現地でリサーチを行っております。
Good luck!
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