大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「『日本人高校留学生』の現実 - これでも「留学」しますか?」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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大澤 眞知子

オオサワ マチコ
( カナダ留学・クリティカルシンキング専門家 )
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『日本人高校留学生』の現実 - これでも「留学」しますか?

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留学 大学・高校正規留学 2017-11-26 02:03

興味深い相談に出会いました。

バラ色の夢が消えてしまったかも知れませんが、相談者の高校3年間が悲惨な「日本人高校留学生」にならないようアドバイスしてみました。

(質問)

すごいショックです。

三年間高校留学したかったのですが、親に反対され、諦めて一年間の交換留学で行こって思ってました。

でも、私の高校は、一年留年になるそうです。
留年はしたくないんで、どうしても外国に行かせてくれない私の人生。

カナダで高校生してみたかったです。

立ち直れる方法教えてください。


(回答) 

残念ですね。

大きな希望を胸にご自分の将来像を描いていたことと思います。

カナダから「立ち直れる」情報をお伝えしましょうね。

 

カナダで、日本からやって来る優秀な学生たちのアカデミックサポートを1994年以来続けています。

「準備なし・能力なし・クリティカル・シンキング能力なし・エージェントお任せ」高校留学は絶対しないこと!というコラムもたくさん書きました。

 

私自身がカナダで目撃した悲惨な日本人高校留学生の運命を順を追ってお話します。

 

1.カナダにやって来る日本人高校生の9割以上は「高校卒業資格」を取得出来ずに日本に帰ります。

 

カナダの高校の授業レベルは高いです。

特にクリティカル・シンキングの訓練が必須な内容の主要科目では、日本人高校生は全く歯が立ちません。

低いレベルの授業、またはESL(外国人用の英語クラス)でフラフラしている間に年数のみが経っていきます。

一時は、迷いに迷い恥ずかしくて帰国も出来ず、バンクーバーを徘徊する20~22歳の「日本人高校生」が話題になったこともあります。

 

2.能力なしの日本人高校生が留学しても、いわゆる「楽しい高校生活」は望めません。

 

同年齢のカナダの同級生と交わるチャンスもなく、ESLで隔離された学校生活。

カナダの同級生はそんな「日本人留学生」には興味がありません。

成績もよい、地元の良い子ほど、すでに自分たちのグループが出来上がっており、アルバイトやボランティア活動で放課後もかなり忙しい毎日です。

わざわざ、英語の出来ない「日本人留学生」と友達になりたい同級生はまず存在しません。

居たとしたら、成績の悪い、制度からはみ出したレベルの低いカナダの高校生がマリフアナを売りに来るくらいですよ。

 

3.カナダの同級生と友達にはなれないので、仕方なく他の日本人留学生とつるみます。

 

そこでは日本の学校より醜い階級制度が出来、小さな小さな日本村が構成されます。

「日本村」で精神的にずたずたになった留学生の話をよく見聞きします。

 

(*余談ですが、North Vancouver に留学生だけを集めている妙なインターナショナルスクール(もともとはインチキ語学学校でした)が存在しますが、内部の日本村はかなりの醜さのようです。 それにしても、カナダまで高いお金を払って、なんで地元とは接点のない留学生だけの高校に行くのかな?が非常に不思議です。)

 

4.1年の短期体験をしている日本人高校生も悲惨です。

 

能力が低すぎるので、カナダの高校ではなかなか正式な授業には入れてもらえません。

他の生徒と教師の負担が大き過ぎるし、カナダの親から文句が来るからです。

「英語の出来ない日本人」をクラスにいれるな~と。

高校で過ごす1年間は、コンピュータークラスの隅で「ゲームでもしてて」か、木工のクラスで黙々と本箱などを作るか、障害を持つ生徒のクラスで一緒に低いレベルのReading をしたり、昼休みも日本人だけで一緒にランチを食べたりと、「この子達一体カナダに何の目的で来たんだろうな」とかわいそうに思います。

 

5.そんな扱われ方をされても、授業料は100~150万払います。(地元のカナダ人はただです)

 

授業料の20%ほどのリベートに目がくらみ、いわゆる「留学エージェント」はバラ色の夢物語で日本の高校生を誘います。

特に、日本の制度でうまくいかない、成績の悪い、素行の悪い高校生が狙われます。

親さえも「日本においておきたくない」子供たちが送られます。

 

母国語で、親のいる環境でもうまくいかない子供が、異文化で外国語で、しかも守ってくれる大人のいない中では、欠点が倍増どころか3倍4倍になって現れてしまいます。

自分の尊厳さえも怪しい状態で、いつの間にかカナダから消えて行くのが末路です。

 

6.「日本人高校留学生」には「英語が出来ない、能力が低い、おとなしい、文句を言わない」というレッテルが出来上がってしまっています、残念ながら。

 

エージェントがリベートに目がくらみ、めちゃくちゃな送り方を続けて来たのも大きな原因です。

そんな中に入ってくる「日本人高校生」もみんな同じレッテルの中に入ってしまいます。

 

7.#1~#6に当てはまらない高校留学生も存在します。

 

ただし、日本での成績がトップクラス(基本的学習能力がある証明)、スポーツや芸術分野で目にみえる業績があり(カナダの高校は歓迎してくれます)、クリティカル・シンキングを使った英語を運用する訓練を受けてから留学した高校生。

しかも、地元に溶け込むための強力な助っ人がおり(エージェントでは不可能)、親代わりでカナダ側と日本人高校生とをつなぐサポートがある。

となると、かなりの意義深い高校留学が可能となります。

 

もし、あなたの状況が7番の場合は、チャンスを生かせずとても残念だったと思います。

しかし、そうでない場合は16番の寂しい高校生活を免れたということになりますよ。

 

I hope you can 立ち直る.

Good Luck!

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