大澤 眞知子
オオサワ マチコグループ
(最終章)これからカナダ留学するみなさんへ-[留学せん事-2004年出版]からの助言
-
1994年からカナダのBC州で留学サポートプログラムを開始、9.11 テロ後一旦休止したあと、アルバータ州の小さな町で再開。
現在は、サイエンス専攻を目指す特別な高校留学、またA.I. 研究者を目指す大学留学のみ扱っております。
変わらぬ、悲惨な留学事情、いや、悪化していると言っても過言ではない留学事情に呆れたというのが理由です。
2004年には「留学せん事」を出版し、実は全くバラ色ではない「高校留学」の実体をご紹介しました。
ここでは、その中からシリーズ#1〜6とご紹介し、今回が最終章となります。
【留学せん事】ロバート・ミックミラン/大澤眞知子 共著 2004年出版 日本文学館
「。。。外国で成功する子供たちはある種の技術と態度を持っています。 それでも成功を確かなものにするのは難しいことです。 公式はありません。 危険も広範囲に及びます。 もし、高校留学しか選択肢がないのであれば、なぜそれしか選択肢がないのか知りたく思います。 そんなにまでして、親から離れて暮らす理由が知りたいのです。。。。。
。。。こんな事を言うと、私達のサポートで留学したい人はほとんどいなくなると思います。 あぁ、良かった。 もうこれ以上、日本の幼い高校生の運命の責任者にはなれないと思っていたところです。。。。」
1.不確実さに満ちる留学の行程
幼い高校生が親元を離れて留学することは、不確実さに満ちています。
誰も前もって予測することも出来ないことが、連続して起こります。
学校はあやふやな要因ばかり。
個々の留学生が、日本語で持っている学習能力などは考慮されません。
留学生のたどたどしい、間違いだらけの英語で知的レベルまで判断されてしまいます。
学校の制度もよく知らない留学生たちは、本来取れるべきコースは何で、どうしたらそこに入れるかもわかりません。
卒業ははるか向こうに見える山より遠いです。
5〜6年かければ卒業に至るかも知れません、しかもCレベルの成績で。
そんなことしにわざわざカナダまで来たの?と憐れです。
途中で落伍して帰国しても中卒です。
ホームステイも危険にあふれる博打です。
まだまだ幼い未成年、親元でぬくぬく守られ、勉強に友達にスポーツに駆け回れる贅沢は留学生にはありません。
ホストの顔色をみながら、よその家で遠慮しながら暮らし、部屋に閉じこもり、友達もなく、なんて惨めな高校生活なんだろうと思います。
一旦問題が起こると、留学している子供たちには何の権利もなく、留学先の地域・学校でも何の発言権もありません。
元々、単なる授業料とホームステイ費を払う商品として勧誘しただけですから、問題があれば消えてもらうのが受け入れ側にもエージェントにもベストとみなされます。
親たちには十分な情報もなく、頼りになるはずのエージェントは仲介手数料を払ってくれるカナダ側には決してたてつきません。
この不確実さの中を一緒に泳いだ「留学サポート」でしたが、息継ぎするのも大変でした。
2.今後、不確実さが増す留学環境
トランプの登場でアメリカは完全な分断状態。
それに対抗するように、多民族主義を貫こうとするJustin Trudeau首相のカナダですが、残念ながら白人優位主義の白人もカナダにはたくさんいます。
「。。。警告です。 最近の世界情勢は不安定です。 どこでどんなテロが起こる可能性があるか、情報が必要です。 カナダでテロに巻き込まれるという心配はしていません。 テロのあと起こる混乱を心配しています。 少数派民族(カナダでは日本人もそうです)に対する態度は9.11テロ以来悪化しています。 現在、人種間で保たれている微妙なバランスが、崩れてしまうかも知れない悲劇が起こるのではないかと、恐れています。。。。」
(ロバート・ミックミランが「留学せん事」で2004年に書いた内容です。)
今日の世界情勢は、もっともっと不安定さが増していると強烈に感じます。
そんな中で、自分の存在感を示し、カナダの教育制度の良い所を吸収することは、まだ10代の幼い留学生には、更に更に困難なこととなると危惧しています。
3.最後に:大学に留学する皆さんへ
「。。。もう大人のはずですから(かな?)厳しい嫌なことは言うつもりはありません。
自分のことは自分で面倒見れますよね。 留学には収穫も大きいです。 素晴らしい経験です。 しかし、それでも準備不足で留学すると、高校留学生と同じ困難に直面します。 十分準備して、成功する留学を目指して下さい。。。。。」(ロバート・ミックミラン「留学せん事」より)
日本の学校での成功者であり、成績も優秀、経験も積み、十分な学問的基礎の出来た大学留学希望者のサポートに限り、お世話を始めたのはこのためです。
特に、カナダが国を挙げて力を注ぐA.I. 分野を目指す留学は、日本の若者に膨大な可能性のある未来を作れると確信しています。
ひとりでも多くの日本人留学生が、日本人である自分の尊厳を持ち続け、カナダから多くを学べる留学になれるよう祈っています。
Good luck, Japanese in Canada
「留学」のコラム
高校留学:パンデミック後もとに戻った本来のカナダ高校レベルに悲鳴(2024/04/17 08:04)
カナダ大学留学:履修コースの選び方(2024/04/16 08:04)
カナダ留学の本当の話(2024/04/11 07:04)
カナダ大学留学をBoost(2024/04/10 07:04)
カナダ大学留学:英語スコアはOKだが高校の成績・履修内容が低い場合の対策(2024/04/07 04:04)