大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「「隠れたアメリカ白人下層階級」が投票した大統領トランプ」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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「隠れたアメリカ白人下層階級」が投票した大統領トランプ

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科学に基づいた心理学から 2016-11-10 06:41

世界がショックで言葉を失った昨夜。

名前をタイプするだけでもおぞましい人間が世界超大国の長となりました。

Sexism に敢然と立ち向かったHillary Clinton、さぞかし無念だろうと思います。

私もこの上なく無念です。

 

世にもアホな選択をしたアメリカと長い国境を共有するカナダから、しかも少数派の日本人感覚で、今回のアメリカの狂気を観察するにつけ感じたこと。

「あの醜い形相で感情的なことを口走るトランプサポーターの白人て、誰?」

 

18世紀の市民革命後、一般市民が自分たちの政治を出来るようになっていきましたよね。

「一般市民?」

いや訂正します。

「白人男性」です。

 

その偏った人たちのコントロールに不満を持った、他の人種、少数民族、女性たちが反乱をおこし、過激派が出現したのがこの数十年だと思います。

「白人男性」だけが決めてどうするんや!と。

 

実はその「白人男性」の中に入れてもらえなかった『白人男性』がいたことを発見。

“White Trash” (The 400-Year Untold History of Class in America) written by Nancy Isenberg

「くず白人」(400年語られることのなかったアメリカの階級の歴史)

 

この本が見事に、トランプサポーターを描写していることに驚きでした。

アメリカ人の中でもこの階級の存在を認知している人は少ないそうですが、長い年月の間、上層階級に気づいてもらうこともないまま続いて来ました。

 

勃発的にKKK(白人至上主義者結社ーこのボスが今回トランプの強力のサポートをしましたね)が問題を起こしたりすることで表面に出かかりますが、階級制度の一番下で不満を貯めている人間の行動だとは理解されないままでいたそうです。

 

イギリスの植民地であった時代のアメリカ、そして移民するしか選択肢のなかった貧しい人たちがイギリスを捨てた時代に遡れば、アメリカに現存する階級制度がいかに複雑で深い恨みに根付いているのかが理解出来る気がします。

そして、その下層の白人の怒りと無教育からなる無知も。

その怒りと無知こそが今回のトランプ大統領誕生という、目を疑う現象の原動力なんですね。

正に、Uneducated white male からの絶対的な信頼を得たわけですから。

 

アメリカの階級と言えば、ほんの1%ほどの超お金持ち上流階級と、中流階級が頭に浮かんでいましたが、「上に上がる希望もなければ」「使い捨てられるだけ」の下層階級の存在があったんですね。

 

上流・中流階級だけではアメリカの自己認識が成り立たなくなって来たわけか。。。と。

 

貧しい人たちはどこの国にも、文化にも存在しますよね。

一部の人たちだけが富を独占しないよう、その人達を助けて行くのが政治の役割でもありますよね。

 

ただ、アメリカのこの階級にはもっと根深いものがあるようです。

Distinct Breed とも呼ばれ、生まれながらにして「くず」の遺伝子を持つ種と定義され、家畜とも同様なレベルとされ、”Waste” 「くず・ゴミ」の別名が存在して来たそうです。

 

そんなアメリカ人たちが自分たちのヒーローをみつけたわけか。。。

あれ? ヒーローは超お金持ちに生まれ、キンキラキラの生活してるやつ。。。

そのあたりの論理も働かない人たちの、積もり積もった怒りと不満。

爆発したわけですか。

 

えらいこっちゃ。

これからのアメリカ、いや影響受ける世界も。

一番困りものは、この人達の Racism (人種差別主義)は筋金入だからです。

白人の中の最下層扱いを受けて来た人たちが、自分たちより低いものを必死で探した。

白くない人種、特にアメリカの黒人、ヒスパニックなどを目の敵にして来たとんでもない人種差別アメリカ人は「お前か!」と。

 

カナダ高校留学中の生徒がこんな本をEnglish のクラスで読んでいます。

“To Kill a Mockingbird”

奴隷制度の名残と人種問題を扱ったアメリカの有名な本で、高校のレベルの高いENGLISH のクラスで使われることが多いです。


 

「大恐慌の頃のアメリカ南部の貧しいBob Ewell という「くず白人」階級の人物が出てきます。 娘のMayella が何者かにレイプされ、殺されますが、無実の罪で黒人がつかまります。 町でも信頼され、働き者で家族思いの黒人 Tom Robinson。  Bob Ewell は道徳心の欠落した男として描かれています。 Robinson が裁判にかけられますが、もちろんその当時の裁判員は白人のみ。 その裁判員にEwell はRobinson を有罪にするよう頼みこみます。 自分の娘の名誉のためにRobinsonを絞首刑にするように頼みます。 脱走を試みたRobinson がその際に死亡したことにも満足せず、Robinson の弁護を買って出た(主人公のFinch)にうらみを募らせ(白人が黒人の弁護をしたことに)、Finch の二人の子供をHalloween の夜に襲います。」

 

作者のHarper Lee はEwellのような下層白人について、こう描写しています。

「末期的な貧困で、大恐慌であれ好景気であれ、周りの経済状況の影響を受けることもないレベルの貧困。 人間のくず。 不潔な環境で生活し、病気・寄生虫・奇形は普通のこと。」

 

 

とてつもない数の「屑」がいたんですね、アメリカには。

たくさんの Ewell が投票したわけですね。

 

日本に原爆を落としたアメリカ人には大いなる疑念を抱いていましたが、やっぱりそうでしたか。

レベル低すぎますね。

 

 

今日、カナダのComedian がこんなことをTwitter に書いてました。

“Canada has started building a wall.”

さて、日本はどう備えましょうか。

私はカナダで張り込みをしておきます。

 

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