大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「カナダ・アルバータ州高校留学するみなさんへー(教育制度の本当の魅力と落とし穴)」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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大澤 眞知子

オオサワ マチコ
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カナダ・アルバータ州高校留学するみなさんへー(教育制度の本当の魅力と落とし穴)

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留学 2016-03-24 16:00

中学を卒業後、カナダ・アルバータ州小さな町の高校に留学した生徒に、こんな手紙がアルバータ州教育相から届きました。


「アルバータで勉強をする決心をしてくれたことを歓迎します。

世界レベルを誇るアルバータの教育は、レベルの高さのみならず、個々に合わせた多様な内容にも特徴があります。

留学とは、多種多様な人々についての知識を深め、それにより歴史の意味、現在世界で起こっている事への理解が出来るようになるという素晴らしいものです。

この1年ががあなたにとり意味深い年になり、学業また人間としての向上に役立つ年になるよう祈っています。

 

David Eggen

教育相                                       」


アルバータ州が日本人留学生を大歓迎!

いいニュースですね。


じゃ、アルバータ州に留学しよう!!


あ。。

ちょっと待って下さい。


カナダが、アルバータ州が、ほしい日本人留学生は「能力の高い、自己動機の強い、社会性のある優秀な」生徒です。

そんな生徒を大歓迎し、アルバータが誇る自由度の高い制度で大いに自分の可能性を伸ばしてほしいというのが、本音です。


なぜなら、アルバータ州には優秀な生徒をもっと優秀にする非常にユニークな教育制度があるからです。


10年生になるとEnglish, Math, Science, Social Studies は3つのレベルに完全に分けられます。

“-1” (ダッシュワン)と呼ばれる一番高いレベルには、9年生までの成績が良い生徒しか入れません。

“-2” (ダッシュツー)という次のレベルとの差は驚くほど大きいです。


“-1” の生徒たちは、地元でも評判のいい子たちが多いです。

大学を目指して頑張ると同時に、アルバイトやボランティア活動も積極的に行い、社会的にも常識を持った大人として行動しています。

話してみても、使う英語の洗練さがまるで異なります。


“-2” の生徒たちは、もともと勉強に対する動機が低いことと、学問的能力が余り高くないことが特徴です。

アルバータは天然資源に恵まれ、大規模な農業を行う地域ですので、高校をかろうじて卒業出来る生徒たちでも、何とか仕事にありつけるところなので、”-2”というレベルが存在するのだと思います。


実はもうひとつレベルがあり、”-4” と呼ばれ、学習能力の非常に低い、個別のサポートが必要な生徒用のクラスとされています。

このレベルでは高校卒業資格はもらえず、「在籍証明書」のようなものが出るだけです。



“10-1” (10年生の”-1”レベル)でもかなり差がある上に、学年が上がるにしたがって”20-1” “30-1” と差はまたしても扇を開くように、大きく大きく広がって行きます。


“30-1”English を取っている生徒と、そうでない生徒の総合的なレベルはぱっと顔をみただけでわかるほどになります。


“-1” と “-2” のレベルの差はクリティカル・シンキングの深さの差だと、先生たちが説明してくれました。

要するに、脳の思考能力の差ですから、年齢が上がるに従い脳の発達度合いが変わり、それが外に出てくるということです。



さて、日本からの留学生はどのクラスに入れるでしょうか。


相当の準備をし、レベル、スピードについていける生徒でないと “-1”には入れてくれません。

自己動機もこの上なく大切です。

宿題だけをこなしていても(それすら相当の難しさですが)間に合いません。

自分の弱点を理解して、それを補う自主的な努力が必須です。


上記を満たす生徒でも、カナダの制度に応じたアドバイス、宿題の内容理解へのサポートなどなしでは、おそらく最初の週に”-1” の先生たちに「ついて来れないようだから、下のクラスに移った方がいい」との宣告を受けてしまいます。


私たちが十分時間をかけて準備し、送り出す生徒たちは、”-1” を目指すのみ!と、必死で頑張っています。



地元のトップクラスの同級生と机を並べ、よい影響を十分に受ける学校生活。

これが留学本来の姿だと思います。


 トップレベルの頭のよい生徒たちのみが、遠い外国である日本に興味を示し、外国人である留学生たちを同等に扱ってくれる傾向にあります。

文化を共有しないからこそ、日本人留学生との時間を大切に感じ、コミュニケーションを取って来ます。


いい友だちが作れる環境が出来ます。


方や、学習自体にも余り興味のない地元の生徒たちは、知的好奇心が余りなく、外国人に興味を持っていないケースが非常に多いです。

興味を持たないどころか、自分たちの周り以外に関心を持たず、一種人種差別的な考えを持つ生徒もいます。


ですから、そんなレベルのクラスに何年いても、地元で友達を作るのが非常に難しいことになります。



留学には、もともとの能力はもちろん、自分からのやる気と行動、そして入念な準備がいかに大切か、ここまでの説明でよく理解していただいたと思います。

それなしでは “-1” の留学生活は不可能だからです。


そんな知識も情報も全くないまま業者に送り込まれる日本人留学生たちは悲惨です。

準備もせず、能力もないまま始める留学生活で待っているのは、地元のいい子たちを横目で見ながら1年お客さんとして学校の片隅で過ごす体験です。


“-1” どころか、年齢相応の”-2” にもはるか届きません。

特別支援学級で自習しているか、工作のクラスでみかけるのが関の山です。


せっかく高いお金を払ってカナダに留学しても、教育制度の底辺でごそごそするだけで終わる。

プラスの経験とは考えにくいです。



さすがのカナダもそろそろそんな日本人たちに気がついてきました。

そのような留学生を受け入れても、学校や地域社会に何の意味もないことに気がついてきました。

私達の送る生徒たちと、業者留学生の歴然とした差を目の当たりにしたからです。

そろそろ、何らかの動きが見られそうです。

良質の教育学区からは、「ひとり送ってボロ儲け」のいい加減な業者からの留学生の姿が消えると期待しています。



アルバータ州の教育制度を何倍にも生かせる留学生たちは、結果として地元にも大きなプラスとなります。


「そんな生徒は大歓迎!」というメッセージに思えました。

アルバータ州教育相の手紙は。


Go Students Go!



(追記)本来受けるはずの説明が全くなく、何も知らないままアルバータ州に送り込まれ「こんなはずではなかった。」と迷ってしまった日本人留学生のみなさん。 まだまだこれからやり直しも可能です。 自己動機は十分あります!と思う方、ご連絡下さい。 応援します。

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