メイクアップには、痴呆症の方が元気になる効果があると言われています。

【メイクアップを楽しんでいただこう】と老人ホームへ伺ったことがあります。
最初は、メイクなんて・・と拒絶されていらしたおばあちゃまが、口紅だけのせてみましょうとお化粧をはじめると、鏡を積極的に覗かれるのです。

その後は口紅だけでなく、チークもいれました。つまり血色がない皮膚に、色味を加えるだけで、表情がぱっと明るくなります。

リップにチーク、とても華やかになられた皆さんは、笑顔になりご家族の話を聞かせてくれました。マッサージをして肌に触れるなど・・私にゆだねて下さるのです。

ホームの居間に集まって下さった皆さんが笑顔になっていきます。

笑顔を受けとった私たちメイクアップセラピストはとても嬉しくなります。

ホームの皆が暖かな“気”に包まれます。

「ありがとう」とお伝えいただいたのですが、こちらこそありがとうございますと申し上げたい気持ちでした。

私があるカルチャーセンターでメイクアップの講師をしていた際に、杖をついた８０代の女性が参加して下さいました。

眉の書き方・ファンデーションののせかたなど・・３ヶ月の５回コースでも上手になられたとはいえません。
が、毎回参加して下さいました。「楽しいです。」とおっしゃるのです。

その方が、なぜ今メイクアップ？と受講理由をお尋ねしたところ、こう仰ったのです。

「長い長い介護の生活を終えて、これからは私の時間ですから。一度メイクアップを習ってみたかったんです。」

カルチャーセンタのメイク教室にお申込みをされる多くは、２０代から６０代の方。
そんな中で８０代の女性が参加して下さる。
なんて素晴らしいことでしょう！

女性はいつまでも綺麗でいたいという気持ちがあるというのは本当ですね。

受講生の方からいただいた“恵み”です。

つづく・・