大塚 嘉一
オオツカ ヨシカズ小学生の英語 発声編4 イントネーション
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イントネーションとは、連続した声の高い低い調子、すなわちメロディーです。
イントネーションは、強調したり、疑問形を作ったりするばかりでなく、話者が意図的に言葉の裏の意味を伝えたり、或いは聞き手に話者の意図しない気持ちを伝えたりします。非常に複雑な問題で、数百ページもある専門書が何冊もあるような分野です。
個々の発音などを間違えても、外国人だからと大目にみてくれても、イントネーションの間違いは、理性を飛び越えて、聞き手のネイティブに対して直接に感情的な反応を引き起こす、すなわち誤解を引き起こすことがあると、ネイティブの学者が告白しています。きっと、ネイティブが、赤ちゃんの頃から叩き込まれるようにして身に付けたものなのでしょう。
前述のように、学者が一生をかけて研究するに値するテーマです。私は、これを大胆にも次の三つに分類しました。
第1 下降調。高い音から低い音に移行します。これは、断定を意味します。普通の高さの音から低い音に yes と言えば、通常の はい となります。高い音から低い音に移行すれば、それを強調することになります。
第2 上昇調。低い音から高い音に移行します。これは、留保を意味します。普通の高さの音から高い音に yes と言えば、 yesですか と疑問を呈することになります。低い音から普通の音に移行すれば、 yesなの と相手を非難していることになります。高い音から低い音に移行しながら、最後に少し上昇すると、言葉ではyesだけれど、本当は違うことを伝えたり、またはそのように聞き手が思うことになります。
第3 平坦調。普通の音の高さからそのまま移行します。これは、そのままでは終わらないことを意味します。
アクセントやイントネーションは、英語を、音楽的な言葉としています。これに対して、日本語では、ストレス(強調)やメロディーは、それにそれほど重きを置きません。我々日本人は、大げさにやって、笑い出しそうになるほどやって、やっと、普通のネイティブ並みになるという感じでしょうか。
高い音から低い音への移行やその逆は、練習するとできるようになります。前述のように、高い音を出すときは、喉からストレートに息を出し、軟口蓋を調節して出します。カラスの鳴き声を真似すると出ます。高い声と低い声とでは、使う筋肉や部位が違うので、スムーズに移行するためには、意識的な訓練が必要です。
元国連事務次長の明石康氏の英語を聞いたことがあります。内容は、実に立派で心を打つものでした。しかし発音はあまりお上手ではなく、特にイントネーションに問題がありました。何かを主張する文章であれば、文章の終わりを明確な下降調で終わらせるべきところが、平坦であったり、不十分なのでした。職場でそうだと、指示を受ける周りのネイティブの人たちは、不安になったり、意図をくめずに困ることになったりします。
日本語の話し手である我々日本人が、常に心しなければならない点です。
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