大塚 嘉一
オオツカ ヨシカズCDコレクションの今
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十数年振りくらいに、CDを聴き始めました。
すると、今浦島状態に。
まず驚いたのは、SACDが、すっかり市民権を得ていること。十数年前は、音域が狭いなどCDの限界が指摘され、その改善策が求められていました。それが、例えばSACD(スーパー・オーディオCD)であり、そのマルチチャンネルであり、DVDオーディオであったのです。その中で、結局、SACD2チャンネルが勝ち残ったみたいです。音質の向上、経済性、居住空間の制約など、いろいろな要素の結果なのでしょう。SACDは、ポップスでは、まったく相手にされていません。クラシックと同様に受け容れられたのは、ジャズ。音楽に音質まで求められるのは、この二つのジャンル、ということなのでしょう。ハイレゾという、音源がダイレクトに手にできるものも現れていますが、規格が統一されていないなど、定着するまで、まだまだ紆余曲折がありそうです。
次にびっくりしたのは、古楽がしっかり受け容れられていること。十数年前は、バロックが、当時の楽器や演奏方法で演奏されることが当たり前になり、モーツァルトが、古楽演奏とモダン演奏が入り乱れているという状況でした。今は、モーツァルトは、モダン楽器を使うかどうかを置いても、古楽演奏を考えない演奏はないというのが常識です。その古楽の影響が、今、とうとうベートーヴェンにも及び、モダン演奏と古楽演奏が入り乱れています。しかし、古楽も、かつてのように、際物扱いされる事も無くなっています。モダン演奏と古楽演奏と、それぞれ、その持ち場を確保して落ち着くこととなるのでしょう。NHKの女城主直虎のテーマ曲を演奏するNHK交響楽団の指揮者パーヴォ・ヤーヴェのべートーヴェンが人気を博しているのも、素敵な未来を示しているようで、うれしい。
上記のような変化の結果、例えば、フルトベングラーのベートーヴェンが、当時の音源を使って、SACDになって出現するということがあります。LPのスクラッチノイズもなく、音域も確保された演奏が目の前に再現されるのには、感動します。
今、私のCD棚では、古典派以降のCDが、急激に増殖中です。
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