石野 恵子
イシノ ケイコグループ
平昌パラリンピック2018~観客席から『Passion. Connected.』~
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「あれ、競技中のはずの山本篤選手が観客席に?!」
スノーボードが行われたアルペン会場で思わず声をかけると、なんと2歳年上の兄。帽子を被っているとそっくり。同じく似てる隣の若い男性は4つ年下の弟。「兄(篤選手)は自分を成長させてくれる存在」と語る。3人兄弟の真ん中の篤選手には、3月3日に息子さんが生まれた。もしや男系家族?!
父の指導で中学から皆バレーボール部で、サーフィンやスノーボードもするスポーツ一家。
「義足でも何でもできるぞ、というところを見てほしい」と母。「スノーボードで初めてのパラリンピックにしては上出来。楽しんでやってくれたらいい。」
家族も応援も楽しんだ。揃いの日の丸帽を被り、スタートゲート故障の間のダンスタイムではノリノリに踊り、観客席にいた香取慎吾さんや松岡修造さんと記念撮影もした。
小栗大地選手の家族は、バンダビと記念撮影
成田緑夢選手の父 隆史さんのTシャツには「夢」
【バイスロン会場】
韓国内ではパラリンピックのことがあまり知られていない。テレビの中継もほとんどないそうだ。観客席には空席があり、公式サイトでは売切れだったチケットも、当日券が会場で販売された。
バイアスロン会場で、ソウル在住の日本人家族のグループは「オリンピックのフィギュアスケートを見たが、パラリンピックも子ども達に見せたかった。家の前をパラの聖火リレーが通ったけれど、誰も注目していなかった」と街の様子も話してくれた。
【 アルペン会場】
しかし空席が気にならないほど、観客席は熱い!
観客の半分以上が外国選手の家族か友人や会社の同僚。競技を終えた選手も合流。アットホームな雰囲気の中、各国の国旗が掲げられ、国名を叫ぶ大声援が飛び交った。
実際、野外のアルペン会場ではTシャツになりたいほど暑い日もあったのだ。
唯一、観客席が静まりかえった場面があった。それはアルペンスキーの視覚障害部門。
日本人選手が出場しないので日本では放送されることは稀だが、私が一番感動するのはこの競技である。
大型スクリーンではマスコットのくまさんが「しーっ」。「Quiet Please」のプラカードをボランティアが挙げる。普段は応援で賑やかな観客席もこの時ばかりは静寂に包まれ、アナウンスも音楽も消える。
ガイドが先に滑り、時速100kmに近いスピードで後を追う選手を、無線や拡張器で導く。ゴールとともに健闘を讃える大歓声があがった。メダルは選手・ガイドの2名に授与された。
【アイスホッケー会場】
アイスホッケー会場では、ゲームの随所にエレクトーンの生演奏が流れた。「タイミングも選曲もドンピシャで、会場の雰囲気づくりにおおいに貢献していた」のが堀切功カメラマンは印象的だったそう。そしてそのエレクトーンに絡む韓国のDJも「会場のみんなが知っている曲を巧みに織り込み、盛り上げていた」とSNSに書いている。
また韓国で人気俳優のチャン・グンソクさんが、日韓戦で自ら2018枚の入場券を購入し、ファンを招待して一緒に観戦した。
結果は日本が最下位8位、韓国は銅メダルを獲得した。
【カーリング会場】
冬季パラリンピック6種目の中で、日本が唯一出場できたかった車椅子カーリング。
韓国では、オリンピックで銀メダルとなり爆発的に人気が出て、ほぼ満員の観客席は韓国人で埋まっていた。
韓国は1次リーグを首位通過したが、準決勝でカナダに3-5で敗れ、パラリンピックは4位とメダルに手が届かなかった。
開会式では「めがね先輩」ことオリンピックのカーリング女子で韓国代表のキム・ウンジョン選手と、車椅子カーリングで韓国代表のソ・スンソク選手の2人が聖火に点灯する演出もあった。
韓国人の観客とも交流があった。子連れで観戦に来ていたり、学校のクラスで来場する子ども達もいた。ソチやリオの時のように、お互いに写真を撮り合い、お菓子を交換。
とても役にたったのが、会場内のfree Wi-Fiだった。おかげで無料翻訳アプリ Google翻訳のオンライン機能が使い放題。音声入力でいろいろと会話ができた。「オリンピックも見たが、パラリンピックの方がとても感動的。来てみてよかった。」と感想を聞くことができた。
会場の入口近くには、バンダビ・ロボが置かれていた。日本語を含む各国語に音声対応し案内はもちろん、ゲームができたり写真も撮ってくれる。子ども達に大人気だった。
【東京2020へ】
日本から近い場所での開催だったため、子連れで来た日本人選手の家族や応援団もいた。
パラリンピックを実際に会場で体験した子ども達は、どれほど2020年の東京大会を楽しみにするだろう。またこの楽しかった体験を学校の友達に伝えて、その友達が親に話して、と繋がっていく。
平昌オリンピック・パラリンピックのスローガン『Passion. Connected.(情熱。きずな。)』をまさに体感できる大会だった。
パラスポーツのことをジャニーズのことを話すがごとく、ファンが増えることを心から願う。
観客席の筆者
*4/17 19-21時 ドコモイノベーションビレッジにて平昌報告会を開催します。
ゲストに現役アスリートを含む6名の方に講演していただきます。
参加費無料。定員80名。お申込みはこちらから
https://www.nttdocomo-v.com/div/event/1040/
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