「遠くて近い国」、ロシア旅行の最大の感想。

実際、航空券・ホテルの手配、ビザ申請は、通常の海外旅行と違って、クリック１つで出来るものではなく、苦労があった。しかし、ロシアについてからは全てが、いままでのヨーロッパ旅行より快適なものになった。それはロシア人が日本を大切にしているから。

数回モスクワ出張された方から、タクシーはメーターがないからぼられると聞いていたので、あらかじめ予約した送迎車で空港からホテルまで向かっていた時、目に入ったのが「金」という漢字がついたレストラン。タヌキと読むそうで、ガイドによると、ロシアで有名な日本料理（アジア料理）チェーン店。ロシアでは15年位前から日本食ブームがあり、現在ではすっかり定着していて、在留邦人1500人ほどに対して、日本食レストランは1000店もあるとか。ソチでも見かけた。逆に中華・韓国料理店が少ないのだそう。

ソチへ行ったとき、覚えたてのロシア語で、「私は日本人です」と言ったら、との人も、そんなことは分かっている、といった反応。これはヨーロッパではとても珍しいこと。普通なら「中国人か？」とまず聞かれる。

そして、パラリンピックの開会式、アルペンスキー会場、メダル授与式の会場では、人気者になった！多くのロシア人から、大人から子どもまで「一緒に写真を撮ってくれ」、と頼まれた。一般人ですらこうなのだから、クロスカントリーで4位入賞した新田佳浩選手が「ソチで一番輝いていたのは、メダル授与式で鯉のぼりを持った日本人応援団といて、カメラのフラッシュを浴びた時」と冗談まじりに発言したことからも想像していだたけると思う。お礼に、Amazonで10本セットを購入し、日本から持参したミニ国旗をプレゼントすると、お返しにとロシアの伝統的なお菓子や国旗などをいただいた。日本語を勉強していて2020年に東京へ行きたい、と日本語だ自己紹介した小学生の女の子にも会った。ちょっとした国際親善だ。

試合観戦でアルペン会場へ向かうため、混雑した電車に乗った時も、こんなこともあった。5歳の娘と72歳の友人のために、座っていた男性が席を譲ってくれた。そしてスマホを取り出すと１歳位の可愛い赤ちゃんの写真を見せてくれた。どうやら彼の娘らしい。私もタブレットを取り出して、互いに家族自慢が始まった。IDカードと片言のロシア語で自己紹介をすると、彼のIDカードで名前とセキュリティーガードだということがわかった。さらに社員証のようなカードを取り出して、普段はレスキュー隊員だという事も判明。横に立っていた女性が、娘にお菓子をくれたので、私も日本から持参したチョコレートを配ると、今度はヴォルゴグラード州のミニ国旗をくれた。この時はどこにある州なのか知らなかったけれど、帰国してから調べて、ロシアの他の地域にも興味を持つきっかけになった。下車する際に、男性からジャケットとリュックを着せてもらい、ロシア流レディーファーストも体験。ますますロシア人が好きになった。

娘もいろいろ得をした。メダル授与式の会場に、パラリンピック・キャラクターが登場した時、一緒に写真を撮ろうとしたら、お先にどうぞ、と言ってもらったし、観客の警備をしていたロシア警察の人からバッジまでもらった。

これらが、開会式で日本選手団の登場が最後のロシアの直前だったからなのか、日本選手の強さの故か、単にロシア人は日本好きなのか、理由はよく分からない。でも、私のこれまでの海外旅行でこんなに日本人を歓迎してくれた国はなかったので、本当に嬉しく、日本人であることに誇りを感じた。