小川 高
オガワ タカシ生体認証(バイオメトリクス)の比較(2)
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こんにちは。
今日は前回の続きです。
前回はバイオメトリクスにおいて重要な事について5点挙げました。
(1)人の生体情報を取得したときに、バイオメトリクスの類似度が低いこと
(2)偽造がされにくいこと
(3)経年変化が少ないこと
(4)システムの精度が高いこと
(5)認証のスピード
今回はこれらついて、どのバイオメトリクスが有効なのかを考えます。
バイオメトリクスの類似度については、虹彩および静脈(血管)パターンやDNAが優れていると言われています。
類似度をを低くするには、情報量が多ければ多いほど有利となります。
虹彩や静脈(血管)の模様の複雑さは、他のバイオメトリクスと比較しても、抜けた存在と言えます。
次に続くのが指紋で、顔、耳の形ではアバウトさがあります。
次に偽造の問題では、バイオメトリクスのキーが簡単に採取可能かどうかが大きな問題です。
例えば指紋ならば、その人が触れたものから簡単に採取することが出来てしまいます。
いったんキーとなる情報がわかれば、人体に近いものでを作ることは比較的容易です。
しかし、例えば虹彩では本人に気づかれずに採取することが不可能ですし、静脈(血管)パターンは体内にあるため採取することが不可能となります。
ここでも、虹彩と静脈(血管)パターンは優れているといえます。
三つ目に経年変化では、ほとんどのバイオメトリクスは、成人すれば大きな変化がなくなると言われてていますが、顔などは経年変化がさけられず、長期間使用することができないという問題点があります。
四つ目にシステムの精度では、本人を拒否する確率(本人拒否率)と本人以外の他人を受け入れる確率(他人受入率)は、本人拒否率を下げよう(上げよう)とすると、他人受入率が上がる(下がる)というトレードオフの関係にあります。
精度を決める要因は、バイオメトリクスの類似度で、理論的には虹彩、静脈(血管)パターンが優れています。
しかし、現状では指紋、虹彩、静脈の精度は大きな差はないと言えます。
理由は、指紋認証の完成度が高いこと、静脈(血管)パターン、虹彩システムは、操作性の優劣が本人拒否率に影響する傾向があること、また静脈(血管パターン)では、技術力不足で毛細血管、細静脈などの情報を無駄にしていることなどがあります。
最後に認証のスピードですが、顔が最も早いといえます。指紋、虹彩、静脈(血管)パターン、サインなどは対象者がアクションをとりますが、顔については対象者が操作することなく認証が可能ですので、ストレスを与えることはありません。
虹彩などは、認証のためのセッティングを丁寧に行う必要があるので、大勢の人を処理するものには向かないといえます。
その他には、心理的な抵抗、例えば指紋では犯罪捜査に用いられてきたなどの歴史的経緯から抵抗感を表すものや、衛生面での抵抗感を表すものもいます。
また、コスト面では、虹彩システムは他のバイオメトリクスと比べて高価なため、比較的大規模なシステムに使用される傾向にあります。
バイオメトリクスの利用は、必ずしも厳格なセキュリティのために利用しているとはいえず、カードに暗証番号+生体認証で利用するなど補助的な役割で利用しているケースも多くなっています。
従って、バイオメトリクスは、状況に応じて、選択をするというのが今後もスタンダードな考え方になると思います。